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実は哺乳瓶は消毒しなくていいって本当!?その理由と方法は【3児ママ小児科医のラクになる育児】

東京衛生病院小児科の小児科医、私生活では8歳6歳4歳の子育て中という3児のママ小児科医保田典子先生のコラム。今回は、健診でもたまに聞かれる、哺乳瓶の消毒についてです。哺乳瓶消毒はいつまで?目的は?消毒するときのポイントや頻度などをまとめて解説します。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師保田典子 先生
小児科 | 高円寺こどもクリニック院長

2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
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こんにちは、小児科医の保田典子です。私生活では8歳、6歳、4歳の子どもを子育て中の3児の母です。今回は健診でもたまに聞かれる話題「哺乳瓶の消毒」についてです。実は医学的にエビデンスがしっかりある訳ではなく、医師の間でも考え方が別れる話題です。海外の話も合わせて解説します。

 

哺乳瓶の消毒の目的は「免疫が弱いから」

哺乳瓶を消毒する理由は、「生まれたばかりの赤ちゃんの免疫力が弱いから」です。
特に、サルモネラ菌とサカザキ菌に対する危険性が、生後2カ月未満の赤ちゃんは特に高いと言われています。

 

ミルクは栄養たっぷりなので菌が繁殖しやすいため、しっかり消毒をするほうがいいと言われています。日本では生後3カ月までの発熱は他の月齢の子と比べても注意が必要であり、すぐ受診しましょうと指導されています。そのため、生後3カ月までの哺乳瓶消毒が推奨されています。

 

生後3カ月以降の赤ちゃんは、自分の手をなめたり、哺乳以外にも何かに接触する機会が増えます。もちろんおもちゃなど手に触れるものは清潔にしておいた方がいいのですが、無菌状態にすることは不可能です。そのことからも、生後3カ月以降は、哺乳瓶の消毒は必ず必要ではなく、赤ちゃんの状況をみて判断していいでしょう。

 

意外と知らない!? 哺乳瓶消毒のポイント

 

哺乳瓶の消毒方法は、煮沸消毒でも薬液消毒でも、スチームによる消毒でも大丈夫です。まず第一に、消毒の前に、菌の温床であるミルクの残りかすをしっかり流すことが大切です。中性洗剤を使用して哺乳瓶用ブラシでしっかり汚れを洗い流しましょう。

 

また、洗剤で洗うときのスポンジやブラシは、しっかり水を切って乾かし、清潔に保つようにしましょう。お湯(水よりお湯の方が良いと推奨されていますが、水でもOKです)でしっかりすすいだあと、消毒をします。

 

食洗機で洗えば「消毒不要」です

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は、食洗機による洗浄や乾燥を行えば消毒は不要とされています(高温で洗浄、乾燥させるため)。食洗機で洗う際も、しっかりミルクかすを落としてから洗浄をしましょう。

 

哺乳瓶を取り出すタイミング

厚生労働省の『乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン』によると、哺乳瓶を使用する直前に取り出すことが最良だと記載がありますが、授乳ごとにミルクを使わない人であれば、消毒が終わったあとは清潔な場所に保管するようにしましょう。


私は薬液消毒をしていたので、次の授乳まで薬液につけっぱなしでとり出してすぐ使うというパターンで使っていました。消毒には薬液に1時間以上浸けておく必要があるのですが、1時間に満たなくなりそうなときは別の哺乳瓶を使っていました。
 

使わないほうがいいもの

CDCのマニュアルによると、食器用ふきんやペーパータオルを使わないようにしましょうとも書かれています。どの消毒方法の場合も、消毒した哺乳瓶は自然乾燥するか、乾燥機を使うといいと思います。薬液消毒であれば、取り出すときは手ではなく、キッチン用トングを使うことが推奨されています。

 

消毒の頻度

消毒の頻度ですが、CDCのマニュアルでは、1日1回、もしくはそれ以上はしましょうと推奨されています。つまり、菌のバイオフィルム(微生物が固相表面に形成した集合体)を作らないことが目的なので、生後3カ月未満の赤ちゃんが使用する哺乳瓶は1日1回は消毒しましょうということですね。生後3カ月以上は消毒不要です。

 

哺乳瓶の消毒方法まとめ

① 消毒の前にしっかり洗剤で洗うことが大事
② 消毒方法はどれでも大丈夫
③ 哺乳瓶は消毒後すぐ使用するか、すぐ使わない場合は保管場所も清潔に保つ。ふきんは使わない(煮沸やスチームの場合、やけどに注意)
④ 生後3カ月未満の場合、1日1回は消毒する

 

ミルク作りで気をつけたいこと

せっかくきれいに哺乳瓶を消毒したとしても、ミルクを作るときに菌に汚染されてしまっては元も子もありません。ミルクを作るときに汚染されやすいのが「サカザキ菌」。サカザキ菌は70度以上で完全に死滅するので、70度以上のお湯で調乳することが大切です。

 

高温によるビタミン破壊が心配されたりしますが、高温によりビタミンが減っても赤ちゃんに必要なビタミンは充足されていた、という研究結果があるので、しっかり高温でミルクを作ってください。

 

手間を省いて育児を少しでもラクに

免疫力の弱い赤ちゃんを守るためにやっている哺乳瓶の消毒。今までの方法と比べて頻度ややり方など、少しでも手間が省けそうなところはありましたか?

 

私も食洗機で洗うときは消毒を省略したり、ちょっとでもラクできそうなところは取り入れつつ、清潔な哺乳瓶でミルクを飲んでもらえるように工夫していました。

ミルクの授乳は毎日のことだからこそ、回数も多くて面倒でおっくうになってしまいがちですが、ママやパパが少しでもラクに、かつ安全に子育てができることを願っています。

 

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