人によってさまざまな症状が表れる生理痛や、日々のストレスに左右される生理周期と経血量など、生理の悩みは多種多様です。そんな悩みを解決するには、生理のコントロールを試みてはいかがでしょうか。大きく3つに分けられる生理のコントロール方法を詳しく解説します。
答えてくれたのは…
こまがた医院院長 駒形依子(こまがたよりこ)先生
東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力~女医が教える「人には聞けない不調」の治し方(KADOKAWA)』。
方法1)低用量ピルでホルモンの波を一定にする
婦人科などで処方される低用量ピルは、経口避妊薬とも呼ばれ、生理をコントロールしている卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2つの女性ホルモンを主成分とした錠剤です。
毎日1回服用することで、生理周期の間に起こるホルモンの波のふ
これにより生理期間を整えることができるほか、ホルモンバランスの乱れによって起きるPMSや生理痛症状の緩和、経血量を減らすことが可能になります。
低用量ピルは服用を始めた翌月から効果を発揮し、服用を止めると、内服した期間や個人差はあるものの、2~3カ月ほどで服用前の周期へ戻ります。これは対症療法の一つであり、服用している間だけ効果が得られるので、「旅行中に生理がきてほしくない」「受験や就活などの大事な時期に生理に悩みたくない」といったときにおすすめです。
長期間飲んでも副作用が少ないとされ、とても便利なピルですが、妊娠を望むとき服用を止めなければいけません。そのため、妊活中は、ピルを服用する前の生理状態に戻り、再び現れる生理の悩みと妊活のストレスで大変な思いをする人もいます。
また、ピルはなかば強制的に生理を起こす薬のため、40歳未満で閉経してしまう早発閉経に気づかない恐れも。妊娠を望まない場合でも43歳未満での閉経はホルモン補充療法が必要となり、放置すると不妊症はもちろんのこと、更年期障害と似た症状が出ることや、骨粗しょう症のリスクが高まることが知られています。
方法2)漢方薬で体の状態のバランスを整える
漢方薬とは、自然界で薬効(やっこう)があるものを原料とした生薬(しょうやく)を複数組み合わせて作られる、自然の力を借りる薬です。体が本来持っている治癒力をサポートし、体内部のバランスが正常になるよう促します。
漢方薬は体に働きかける成分そのものを配合しているわけではないので、一般的に正常な範囲に体を正すというより、その人の心身に合った状態に導くものです。そのため体に穏やかに働きかけるものが多く、効果が表れるまでに時間がかかることも少なくありません。さらに体質や症状により十分な効果が出ず、自分に合った漢方薬が見つかるまで半年以上かかる人も。
しかしその人に合った体の状態に整えるということは、体の中で負荷がかかっているところを見つけ出し、全体のバランスを見ながら無理なくスムーズに動くようにするということであり、根本原因である体質改善に繋がります。
方法3)ストレスをためこまず、健康的な生活習慣を身につける
生理周期が乱れる主な原因は、ホルモンバランスの乱れ。このホルモンバランスの乱れには、心身のストレスが影響しています。精神的なストレスはこまめにはきだすようにすることが大切です。また、偏った食事や睡眠不足、疲労などは身体的なストレスに繋がるので、できるだけ健康的な生活を心がけ、疲れを溜めないようにしましょう。
また、生理痛の原因といわれる慢性的な冷えや脱水は、生活習慣を見直すだけでも改善することがあります。たとえば体の冷えを予防するために靴下をはく、脱水予防のためにこまめな水分補給をするなど、気軽にできるものも多いので心当たりがある人は取り入れてみてはいかがでしょうか。
今までの習慣を変えて、新たな習慣づけをするには時間がかかり、なかなか根気がいるものです。しかし、続ければ体質が改善し、薬に頼らずとも生理の悩みが改善する可能性も。やることは小さいことでも、積み重ねることで根本原因を解消することに繋がるのです。
生理をコントロールする方法はいくつかありますが、対症療法と根本治療のメリット・デメリットをよく理解したうえで、使い分け、場合によっては、すべての方法を並行して取り入れていきましょう。