初めての妊娠
私はなかなか妊娠することができず、不妊治療をおこないながらつらい日々を送っていました。そんなある日、不妊治療の病院で妊娠したことがわかりました。
うれしい気持ちでいっぱいだったのですが、不妊治療で妊娠しても出産までたどりつけるとは限りません。夫と相談して、高齢で妊娠を待ち望んでいる義両親には安定期に入るまで黙っておくことにしました。
妊娠を義両親に話してしまう
夫は自分の両親を喜ばせたかったのか、「もうそろそろ話してもよいか」と何度も私に聞いてきました。けれども私は長い不妊治療を経験していたため、ぬか喜びさせるのではないかと不安を感じ、安定期に入るまで義両親には話さないでほしいと伝えました。
けれども夫は約束を守り切れずに、義両親に私が妊娠したことを話してしまったのです。私の妊娠を知った義両親は、妊娠したことをとても喜んでくれたそうです。
まさかの流産で義父激怒
しかし悲劇は突然起こりました。夫が義両親に私の妊娠を伝えた直後、私は流産したのです。私が流産したことを夫に伝え、夫は義両親に報告しました。
妊娠初期の流産の原因は不明で、ほとんどは受精卵に問題があると病院で説明を受けていた私は、そのことを丁寧に義父に伝えました。けれども高齢で初孫を期待していた義父が私に向かって言った言葉は、「あんたのせいだ」。私も流産をしてつらい思いをしていたので、さすがに頭に血が上りました。
義父の気持ちを理解できない
義父が高齢なことや性格的なことも考えると、私が怒った態度を出しても義父から謝罪の言葉はもらえないと思い、その場は我慢。それを見ていた義母と夫も、無言のままやり過ごしました。私が席を立ったとき、夫は義父に対してひどいことを言わないように話してくれたようでした。
義父が孫の誕生を心待ちにしていたのはわかりますが、実際に流産してショックを受けているときに私が傷つくようなことを口にしてしまう義父の気持を理解することは困難。初めての妊娠、流産の直後に義父からのひどいひと言を消化するのはとても難しいことでした。
流産した理由を確認したわけでもないのに、流産の理由は私のせいにされたことは今でも腹立たしく思っています。ただ義父が高齢なことや性格的なことを考えると、それ以上どうすることもできないと思いました。流産を私のせいにしたできごとが起きてから、義父とは距離を置き、面倒なことは話さないようになりました。
作画/はたこ
著者:福井智美
自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。