イラストレーターのアベナオミさんは、2011年3月11日、宮城県仙台市近郊の利府町で東日本大震災を経験。当時、長男の豆キチくんは1歳7カ月でした(現在は、二男アンチョビくん、長女モナカちゃんが生まれ、3児の母)。
アベさんは、震災翌日に生理に。電気・ガス・水道といったライフラインがストップしているなか、生理ではどんなことに困り、これからどう備えたらいいのか……。あまり語られることのない「震災と生理」についてリアルな状況と、経験者だからこそ、皆さんに知っておいてほしいこと、備えておいてほしいことについて教えてくれました。
※「知ってほしい生理×震災のリアル」これまでのお話はこちら
ナプキンが…ない!家にもお店にも…
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震災翌日、絶対に失敗できない夜…
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当時、私が住んでいたエリアでは、断水が完全に復旧するのに約1カ月ほどかかりました(沿岸部はさらに長期間、断水が続きました)。そこで、生活用水を求めていった場所は……。
多くの人が生活用水を求めて、川へ。川の堤防は、津波が遡上したために変色していました。津波の爪痕を目の当たりにしながら、小さなバケツで、1日に何度も、自宅と川を行ったり来たり。そして、その役割をほとんどを担っていたのは、休校中の子どもたちでした。
※遡上(そじょう)…流れをさかのぼって行くこと
この時点では、わが家は汲んできた川の水でトイレを流していました。しかし、後にトイレの汚水が沿岸部であふれるという被害が! 今では流さなくても済む非常用トイレをしっかりと備えています。
生理中なのに、おふろもウォシュレットもシャワーも使えない日々。ムレるし、ニオイも気になるし、ずっとムズムズしてとても不快でした。
おしりふきのおかげで、デリケートゾーンをかろうじてきれいに保つことができました。しかし、完全にスッキリすることはなかったので、水については、飲料水だけでなく、生活用水の備えがあれば、座浴くらいできたのになぁと後悔。文字通り、「温水(おんすい)を湯水(ゆみず)のように使えるありがたさ」を痛感した経験です。
生理のときはいつも以上にデリケートゾーンを清潔に保ちたいけれど、ライフラインが止まり、物資がない中では最低限の衛生を保つことで精一杯でした。
震災後まもない時期に生理を経験して思ったのは、生理で必要な備えは、
●昼用夜用それぞれ1パック以上の未開封ストック
●おしりふき、またはウエットティッシュ
●使用済みの生理用品やウエットティッシュを入れる防臭袋や消臭袋
です。災害時はゴミの収集が数週間ストップします。ゴミを家庭で保管しなければならないので、ニオイ対策も必要です。また、生理時以外では、下着がなかなか交換できないときに、パンティライナーやおりものシートを使うと便利です。
家族とはいえ、1日に1〜2回しか流せないトイレに用を足すのはとてもストレスでした。また、生理時は経血でトイレが真っ赤になってしまい、私も夫もストレスでした。だからこそ、一回ごとに処分できる非常用トイレは必須の備えです! 皆さんも、生理の備え、トイレの備えを見直してみてくださいね!
アベナオミさんが体験した、震災での生理体験のお話でした。このようなリアルな内容はなかなか聞くことができないものだと思います。ぜひ備えの参考にしていただければと思います。
アベナオミさんは、震災後、小さな子どもを連れた被災後の生活の様子や防災を伝えるコミックエッセイなどを執筆し、「防災士」の資格を取得。被災体験をもとに、本当に必要な防災、続けられる防災「1日1防災」に取り組みつつ、防災講座などの活動もおこなっていらっしゃいます。
なお、アベナオミさんの防災に関する書籍は「日めくり 被災ママが教える後悔しないための1日1防災」(PHP研究所)、「被災ママに学ぶちいさな防災のアイディア40」(学研プラス)、「全災害対応! 子連れ防災BOOK 1223人の被災ママパパと作りました」(祥伝社)など。どれも、知っておきたい防災の情報がぎっしり詰まっています。こちらもぜひ読んでみてくださいね。
監修/助産師REIKO
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