満員電車の中で
当時3歳だった娘は、電車に乗るといつも「ベビーカーから降りたい」と言ってぐずっていました。しかし降ろすと走り回ってしまい危ないので、電車に乗るときにはなんとか娘をベビーカーに乗せておこうと四苦八苦していました。娘は棒付きのキャンディが大好きで、あげると静かにしてくれます。時間もそれなりにもつので、電車に乗るときにはよく棒付きキャンディをあげていました。
しかしあるとき、隣に乗っていたおばさまがキャンディを舐める娘の様子を見て「こんなに小さいのに棒付きのあめなんかあげて大丈夫? 棒がのどにささるんじゃない?」といぶかしげに話しかけてきました。
こちらにも事情があり…
確かに棒があるのでわかるのですが、キャンディをとりあげると満員電車の中で娘が騒ぎ出すのが目に見えているので、とても困りました。
「そうかもしれませんが、キャンディを舐めていないと騒いでしまうので......。危ないのでもちろん目を離さないようにしています」と応え、その後降車されるまでずっと、おばさまの刺すような視線を受けながら、そのまま娘にキャンディを舐めさせていました。そして、おばさまがいなくなったあとにどっと疲れを感じたのです。
初めて訪れる場所に行く途中で
こちらのことを思って言ってくれているのでしょうが、ちょっと困るお言葉をいただいた経験がもう1つあります。現在住んでいる場所に引っ越して間もないころ、まだ土地勘がなかった私は、当時1歳半の娘を乗せたべビーカーを押して、スマホで地図を検索しながら小児科へ向かっていました。すると後ろから、自転車で来たおばさまに声をかけられました。
「ちょっとお母さん、お願いだから聞いて」。何事かと振り返ると、50代くらいのおばさまが「ベビーカーを押しながら携帯を見るなんて、赤ちゃんがかわいそうよ。事故にでもあったら大変よ。最近のお母さんはみんなそうだけど、お願いだからやめてあげて」とわざわざ自転車を降りてお願いされたのです。しかし、スマホの地図アプリを見ないと小児科にたどり着けないので、このときも困惑してしまいました。地図を事前に見て覚えておけるとよかったとは思いますが、初めての場所で、時々スマホで確認しながら向かっている状況でした。
どちらのケースもこちらのことを心配して声を掛けてくださったのだと思います。確かに心配される理由はあるので反省しましたが、当時、新米ママで育児に対する自信もなく、いつも右往左往していた私。自信がないうえに注意されたということがショックで、どちらもへこんだ出来事として記憶に残っています。私も今後誰かに声をかけることがあれば、相手の状況も汲み取った声がけを心がけたいと思います。
※長い棒のついたものを子どもに食べさせるときや、歯ブラシなど長いものを持たせるときは、喉を突き刺さないよう、大人が近くで見守るように注意しましょう。また子どもの手の届くところに置かないようにしましょう。
著者:澤崎 凪
1男1女の母。パーソナルカラーコーディネーターの資格を持ち、色彩関係、ファッション関係のほか、自身の体験をもとにした子育て関係のジャンルを中心にライターとして活動中。