こんにちは!助産師のREIKOです。私たちがふだんあまり意識することなくおこなっている、でも生きていくためには欠かすことのできない「呼吸」ですが、自分たちがどうやって呼吸できるようになったのかご存知ですか?
生まれたばかりの小さな赤ちゃんに起こる劇的変化のひとつに「自分で呼吸する」ということがあります。「赤ちゃん、ちゃんと息しているかしら?」と、気になるママも多いのでは?そこで今回は、赤ちゃんの呼吸についてお話しします。
おなかの中では……
大人の場合、呼吸をして肺から取り入れた酸素を心臓から全身に血液を介して送っていますよね?でも、おなかの中の赤ちゃんは自分で呼吸をしていません。おなかの中の赤ちゃんはどのようにしているのかというと……。
おなかの中の赤ちゃんの血液の流れは大人と違っていて、肺へはほとんど血液が流れていません。そのため、肺を通らない胎児用のルートで心臓と脳に酸素を多く含んだ血液を循環させています。
おなかの中の赤ちゃんの肺の代わりに働いているのは胎盤です。胎盤を介して、必要な酸素を取り込み、いらなくなった二酸化炭素を排出しています。その一方で赤ちゃんは羊水を肺に取り込んで出すといった「呼吸様運動」をして、呼吸の練習もしています。
あの短い時間で劇的な変化が!
おなかの中の赤ちゃんの肺は、水をたくさん含んだスポンジのような状態。それが陣痛のストレスによって、肺が外で呼吸をする準備を始めます。そしてせまい産道を通ってくることで、水浸しのスポンジから水分が出ていくのです。
赤ちゃんが生まれてすぐ「おぎゃー!!」って泣きますよね。あれが赤ちゃんにとっての最初の呼吸です。赤ちゃんが泣くことによって、肺胞が広がります。
赤ちゃんが泣いて肺に酸素が取り込まれることに加えて、ママと赤ちゃんを結んでいたへその緒が切られ、胎盤からの血流が途絶えると、胎児用の血液のルートは閉ざされ、血液の循環も胎児用から新生児用に切り替わります。
「おめでとうございまーす!」と、ママのところの来るまでの短い時間に赤ちゃんは劇的な変化をしているんですよ。
赤ちゃんの呼吸の特徴とは?
新生児期の赤ちゃんの呼吸は大人よりも早く、1分間に30~60回くらいで、鼻で呼吸をしていることが多いです。泣いたあとや授乳のあとは早くなったり、寝ているときにはゆっくりになったりと、不規則なこともあります。
また、赤ちゃんは腹式呼吸をしているので、おむつで苦しくないよう、ママの指1本分くらいの余裕を持たせてとめるようにしましょう。
赤ちゃんが息してない!?そんなときどうする?
新生児期の赤ちゃんは少しずつ外の世界に適応していきます。なので、ときどき呼吸を忘れてしまう赤ちゃんもいます。5~10秒ほど呼吸を止めたあと、呼吸し始めるような場合は生理的なものと思っていいと思います。しかし、20秒以上呼吸を止めていたり、時間に関係なく、赤ちゃんの顔、くちびる、指先の色がふだんよりも悪くなったり、紫がかったような色になっているときは要注意!
赤ちゃんが吐いていないか、苦しい姿勢で寝ていないかなど、確認しましょう。そして、赤ちゃんの足の裏や背中を少し強めにさすって刺激しましょう。その刺激で泣いてくれれば、その場はいったんひと安心ですが、原因をはっきりさせるために受診をおすすめします。
それでも呼吸しない!となったら、救急車を呼ぶことになりますが、救急車が来るまでの間、心肺蘇生法をおこないましょう。母子手帳に方法が載っていますよ。
呼吸をしていないこと以外にも、呼吸が早くなったり、息を吸うときに肋骨やみぞおちのあたりが陥没したり、息を吐くときに「うーうー」とうなったりと、赤ちゃんの呼吸が苦しいサインがいろいろあります。
なにか変だな、気になるなというときは、かかりつけの病院、夜間で対応が難しい場合は救急医療機関や小児救急電話相談(#8000)に連絡をして指示を仰ぎましょうね。2~3カ月以内には赤ちゃんの呼吸は安定してきます。ふだんの赤ちゃんの呼吸の様子を見ておくと、いざというとき安心ですよ。
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