徐々に気になりだした言動
義父は新聞社に勤めているため知識が豊富でとても物知りだということは、夫と結婚する前からわかっていました。ためになる話やマナーについても詳しく、ひと言で言えば完璧主義者。夫と結婚し義実家に行く頻度も多くなり、食事やお酒を一緒に楽しむ時間が増えていくなかで、どんどん距離が縮まり義父の言動に「ん?」と思うことも増えてきました。
というのも、会話のなかで難しい言葉を使われたときに答えられず聞き直すと、「この言葉知らなかった? はい、すぐ調べてみよう」と言われたり、「問題です。これは何でしょう」とうんちくを出題され、答えられないと鼻で笑われ、「知らないかー、ちゃんと勉強しないとー」と小馬鹿にされ始めました。
自分の常識が一番正しい
初めは自分の息子や娘だけを小馬鹿にしていた義父ですが、だんだんと息子嫁である私のことも小馬鹿にしてきました。小馬鹿にするといっても許せるレベルではなく、鼻で笑いあしらうタイプ。そんな義父とクイズ番組を見ながらお酒を飲んでいるとき、漢字の書き順が出題され家族皆で答えていると、義父ひとりだけ回答が違い、あとの4人は同じ回答でした。
私は内心「義父が外れたらおもしろい!」と思ってしまったのですが、まさかの本当に義父だけが間違えてしまったのです。義父は「俺はこれで何十年も書いてきた! そんなことあるはずがない!」と辞書を開きましたが、やはり辞書を見ても義父が間違えていました。「間違いもあるよなー」とボソッとつぶやいた義父。完璧主義者の義父が初めて恥ずかしそうに言ったため、とても意外で驚きました。
今までの思いをぶつける家族
夫も実家に帰る前には毎回、「また今日も小馬鹿にされるんやろうな」「小さいときから小馬鹿にしてくる親父が嫌いだった」と言っていました。また、「いつか見返してやりたいと思っていた。それ以外はいい親父なんだけど」と言っていたので、今回初めて間違えた父を見て、夫は「誰だって知らないこともあるし、間違いもあるんやから小馬鹿にするのやめたら?」と笑い混じりに雰囲気が悪くならないよう伝えました。
それを聞いた義父の娘や義母も「昔からお父さんそうだもん。自分が間違えたら恥ずかしいでしょう!」と楽しそうに伝えていて、義父もやっと少し周りの家族が嫌な思いをしていたことに気づけたようです。
私自身も「物知りでないといけない!」とプレッシャーを感じていたため、義実家に行くのが苦痛になっていましたが、こんなまさかの逆転劇があるとは思ってもいなかかったため、驚きました。
完璧主義者のため、義父は自分をはじめ息子や娘が恥をかかないように教えていたのだと思います。その方法は家族を不快にさせていたため正しいとは言えませんが、実際に自身が間違えたときに悔しい思いをしたことを機に、人を小馬鹿にすることはグンと減り、私のプレッシャーも軽減しました。
「共感した」「私の場合はこうだった」など、ぜひベビーカレンダーサイトのコメント欄にご感想をお寄せください。また、ベビーカレンダーでは皆さんから募集した体験談を記事でご紹介させていただくことも。ベビーカレンダーに会員登録すると届くメルマガから、皆さんのオリジナル体験談をご応募ください。
著者:平山 光
3歳と5歳の姉妹のママ。約1年の不妊治療を経て、無事第一子の妊娠が発覚。第二子は自然妊娠で授かる。アトピー症状のある第二子をきっかけに、自然食や自然治療法を勉強中。