書類を届けるついでに寄ったトイレで
つわりも落ち着き、仕事にも集中できるようになってきた妊娠5カ月のころです。私は他部署に書類を届けようと、席を立ったついでにトイレへ寄ることにしました。そこで下着にわずかについた鮮血に気づいたのです。
おなかの張りや痛みなどはありませんでしたが、“妊娠中の出血は危険サイン!”と産院で言われていたこともあり、思わず血の気が引きました。下着についていた出血そのものは微量で、その時点では止まっているようだったため、持ち歩いていたナプキンをあててとりあえず仕事に戻りました。
“念のため”昼休みを利用して受診
昼休みを待ち、産院に電話で症状を相談してみると、「診てみないとわからない」「来られるなら今から来て」と言われました。産院は職場から電車で2駅の距離。診察を受けても昼休み中に行って帰ってこられると考えた私は、妊娠を唯一報告していた直属の上司にだけ事情を話し、あたかも昼休みを社外で過ごすふりをして会社を出たのです。
微量の出血以外は症状がなく、このときは「念のために診察してもらったほうが安心だから」という軽い気持ちで、午後にはまた職場に戻れると信じて疑いませんでした。
会社にも自宅にも戻れない!?
「今すぐ入院です」
診察を終えた医師のひと言に、私は呆然としました。今の段階では、出血がこのまま止まるかどうかわからないこと。時期的に前置胎盤の可能性が否定できないこと。入院して1週間は経過を見ること。こうしたことを説明されましたが、突然の宣告で私は頭の中が真っ白。
さらに「必要な物は家族にあとで持ってきてもらうように」と言われ、すぐに病室へ行くように促されました。とても「会社に戻りたい」などと口に出せる空気ではありませんでした。仕事用のスーツと靴が、病室でひどく場違いに感じたことをよく覚えています。
幸い出血は止まり、妊娠経過に影響はなく1週間後に無事退院することができました。しかし、上司への報告は逐一していたものの、昼休みから一向に戻ってこない私を同僚がひどく心配していたとあとから聞き、申し訳ない気持ちになりました。妊娠中は何が起きてもおかしくない、という意識が少し足りなかったなと反省しています。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:川木みさ/30代女性・主婦。7歳差の1男1女を子育て中。英検1級、児童英語指導者TEYL取得。海外サイトの翻訳や子育て体験談の執筆活動中。
作画:山口がたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています