久しぶりのおめかし
当時、1歳の娘中心の日々を送っていた私。毎日着る服は、汚れてもOKで娘を追いかけやすいズボンやスウェットですし、お化粧もほとんどしません。このころは夫の仕事も忙しかったのでちゃんとした休みもなく、来る日も来る日も娘に振り回される日々でした。
そんななか、久しぶりに休みの夫と娘とショッピングモールへ行けることになり、私は久々におめかしをしました。しっかりお化粧をし、全速力で走れないからとはいていなかったお気に入りのスカートをはいて、気分はルンルンだったのです。
遠くから悲しいひと言が
ショッピングモールでは夫と私で順番に娘を抱っこしていました。そして、夫が見たいものがあるからと言ってお店に入っている間、娘と私がお店の外で待っていたときのことです。娘が「抱っこ」と言うので抱っこしようとすると、スカートの裾がめくりあがりそうになったので、「ちょっと待って、お母さんのスカート直すね」と仕切り直し、改めて娘を抱っこしました。
そのとき少し離れたところにいた中年の男性が吐き捨てるように、「母親のくせにスカートなんかはいて」と言い、こちらを見ていたのです。私はその批判的な言葉がとても怖くなって、思わず夫のいる店内に駆け込みました。
夫の言葉に救われる
買い物を終えた夫に男性から言われた言葉のことを話すと、「俺はママになっておしゃれしたり、自分のことに時間を割いたりしてくれるのはうれしいよ。いつも自分よりも娘優先だから、なおさらね」「それに朝からスカートはいてルンルンしてるの、かわいかったよ」と言ってくれました。
そして娘も「お母さん、かわいい」と満面の笑みで言ってくれ、それまで男性に言われた言葉でヘコんでいた気持ちも吹き飛んでしまいました。
男性の言葉が突き刺さったのは、私の心のどこかに「母親なのに動きにくいスカートをはいていいのかな……」という後ろめたい思いがあったからだと思います。けれど夫と娘が「かわいい」と言ってくれるのなら、わが家の正解は「ママがスカートをはいてもOK」。知らない人が言うことに落ち込む必要はないと感じた体験談です。
著者:山口 花/30代女性・主婦。田舎で1女1男を育てる母。コーチングの資格を子育てに生かしながら日々奮闘中。主に妊娠・出産・教育の記事を執筆している。
作画:こちょれーと
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています