こんにちは!保育士の中田馨です。今回は“しつけについてのお話。「しつけ」と一言で言ってもなかなか難しいものです。だって、各家庭「ここが大切」と思っている部分が違いますし、保育のプロの私達でもしつけは難しいと感じます。今回は、保育園に通う子どもたちのしつけで「ここのポイントを押さえてもらえると助かるんです!」と言うテーマでお話しします。
しつけをするとき、このポイントを押さえてね!
そもそも「しつけ」とはどういう意味の言葉なのか?を改めて調べてみました。「しつけとは、日常生活での行儀作法や生活習慣の型を身につけさせることを言い、主に家庭内での初期教育をさす」とのこと。子どもが社会に出たときに、苦労しないためにも身につけたいことを大人が伝えていくのですが、これは国や地域、家庭の考え方によっても違います。今回お話しする「しつけ」は以下の2点にポイントを絞ってお話しします。
・保育所で子どもたちが安全に過ごすこと
・保育所で子どもが迷わず生活できること
正直、子どもは何度も何度も、本当に何度も同じことを繰り返します。「この前も言ったのに!」なんてことだらけだと思います。でも、繰り返し伝えることと環境を少し変えること、さらに大人が少し意識を変えることで、子どもに伝わっていきます。
何でも触る、なめる、投げる、落とす
ずいぶん昔の話。まだ私が小学生で、母が保育所を営んでいた時のことです。母は、子どもたちにひな人形を見せようと保育室の隣の部屋に七段飾りを出したことがありました。保護者も喜び、お迎えの際に子どもを抱っこして一緒に見て楽しんでいました。すると、ある子どもが飾りに手を伸ばし、なめて、そのまま落としました。飾りは壊れ、保護者は謝ることなく「あらら」と言った感じだったそうです。
これは、極端な例だと思うのですが、「触らず見るだけの物」と「触っていいもの」の境界線を伝えていくことも大人の役割です。ちなみにそれ以来、私の保育所では、ひな人形は柵の中に飾るか、お内裏様とおひな様だけ子どもの手が届かないところに置くことにしました。月齢が低く「見るだけよ」と伝えても触ってしまう時などは、環境を変えていきましょう。
また、何でも投げる、落とす時期は「投げても、落としてもいいもの」を渡します。ちょうどいいのは「ボール」ですね。子どもの本能が「投げたいんだ!」と言っているのですから、これを遊びにつなげないわけにはいきません!
叩く、噛むへの反応は真剣な顔で!
もしお家で、お父さんやお母さんをたたいたり噛んだりする姿がみられたら「噛んだら痛いんだよ」ということを伝えていきましょう。これは0歳でもです。怒る必要はないのですが、噛まれて「いたたたた!!」と大げさに反応したり、笑って冗談にしてしまうと、子どもは「わ!お母さんが反応してくれた!」と思ってしまいがちです。そうすると、またお母さんに反応してもらいたいので噛むのです。
また、気に入らないことがあり噛む時は、まだ言葉で気持ちを伝えられない時でも、「イヤって言えばいいんだよ」と言葉で気持ちを言う方法を伝えていきます。噛んだり叩いたりなどを、お家と同じように保育所でもするようになると、お友達が傷つくことに繋がります。噛む時期はその子によって違いがありますし、すぐにやめる子もいればそうでない子もいます。じっくりと伝えていきましょう。
食事は座って食べる
成長過程で、多くの子にある「歩き食べ」。食事中に椅子から立って歩き始め、追いかけて食べさせるなんてこともあるのではないでしょうか。食べ歩きをするのはお行儀も気になるところなのですが、のどに食べ物を詰めてしまう可能性もあるので危険!なんですよ。少々、根気がいるのですが、子どもが立ったら「座ろうね」とその都度、椅子に座りなおさせることが大切です。その回数が多い時期は大変なのですが、続けていることである時を境にピタリとやめます。
歩かないにしても、椅子の上に立ったり、背もたれやひじ掛けの隙間に足を入れ込むことも危険ですので「おしりぺったんで座ろうね」など声掛けをして、座ったことを確認してから食事を進めていきましょう。
「まだ小さいし、どうせ言ってもわからない」と思わず、その都度その都度、子どもの目を見ながら伝えてほしいなと思います。