待望のパパができた、お年ごろの長女と、初めて女の子の親になる新米パパ。再婚して数カ月後、「離婚」という言葉が飛び交う事件が起きてしまったのです……。
ベビーカレンダーは、多様化している家族のあり方=“新しい家族のカタチ”について発信する取り組みを開始しました。当事者のリアルな声をご紹介していきます。多様な幸せを実現できる社会、そして、もっと「家族を持ちたい」「赤ちゃんを産みたい」と思う人が増える世の中づくりの一助となりますように。
「ママ離婚して!」私がいない間に起きた事件
一緒に住みだしてから、4~5カ月経ったころのお話です。次女が生まれ、私は授乳と寝かしつけのため寝室にいました。リビングにいる長女と夫が、なにか言い合いをしています。次女に喧嘩する声は聞かせたくありません。すぐ駆けつけたい気持ちを押さえて、寝かしつけを優先しました。
リビングに戻った私に、長女はすぐ「パパ嫌だ! パパと離婚して!」と言いました。「離婚なんて簡単に口にするな! なんでも自分の思い通りになると思うな!」とヒートアップしている夫。なにがなんだか、私にはさっぱりわかりません。とにかく2人を引き離し、まずは長女の部屋で長女の話を聞くことにしました。
思春期の長女と思春期がよくわからない夫
「パパにデブと言われた。もうパパ嫌だ。ママ離婚してほしい」
たしかに、長女はふっくらした体型です。ただ身長は平均より10cmほど高く、まだまだ成長期。だんだん体型も変わるかもしれないと、私はあまり気にしていませんでした。
「デブはひどいね。ママはそばで話を聞いていたわけではないから、パパの話を聞いてみないとわからない。もしかしたら誤解があるかもしれない」
長女をなだめてから、夫の話を聞きました。
「デブだなんて言っていない、食べ過ぎじゃないかと言った。さっきごはんのあとにデザートを食べたのに、お風呂上がりのアイスを食べようとしたから糖分の摂り過ぎになると思って注意した。親が気にかけないと、大人になってから糖尿病など、何かの病気になってしまうかもしれない」。
長女の健康や将来を心配して、夫は注意したのでしょう。夫には、長女が夫にデブ、太っているなどと言われたと思って傷ついていることを伝えました。「それは違う」と、夫は慌てます。
2人の間に入って、行き違いを正す私
私は、長女と夫をリビングへ呼びました。まずは、2人に誤解があることを伝えます。デブとは言っていないこと、将来病気になってほしくないから夫は注意したことを長女へ説明しました。
夫へは、長女は思春期だと話しました。大人の言葉に過剰に反応することがあること、実の父親でさえ体型のことを言われたり触られたりすると娘は嫌悪感を抱く年ごろなのだと伝えました。
私は離婚するつもりはないから、みんなで仲良く生活していきたいと言いました。その場ではお互いに謝罪はなかったものの、「わかった」と言って離れていきました。次の日、長女と夫は冗談もまじえながら会話をしています。わだかまりが残らなかった様子を見て私はホッとしました。
今回は、思春期の娘と言葉が足りない夫が起こした事件です。実の親子でさえ、会話が噛み合わないこともあると思います。夫は幼少期を飛ばして、急に異性の子どものパパになったので戸惑うことも多いでしょう。
私が次女の寝かしつけを優先せず、2人のもとへ駆けつけていたら離婚という言葉も出なかったのかもしれません。ただ長女と夫には、お互い家族になるため歩み寄ってもらいたいと考えています。きっと2人ならできると私は信じています。
著者:樋口みき/女性・主婦。13歳と1歳の女の子、10歳の男の子を育てる母。離婚、婚活を経験し、ステップファミリーとして生活。年の差兄弟の生活スタイルの違いに翻弄されつつ、パワフルに生きています。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています