中にはニュースで見るような死亡事故もありますので、しっかりと対策していきましょう。
子どもの転落事故は春に増加
消費者庁によると、転落事故は子どもの中でも特に3~4歳が多くなっています(※1)。うちの子も3歳のときに、幼児用の椅子を積み重ねて登っていたのを思い出します。
東京消防庁管内では、令和元年から令和5年までの5年間に、5歳以下の子ども65人が住宅等の窓やベランダからの墜落で救急搬送されています(※2)。
墜落によるケガは重症度が高く、生命の危険が強いとされる重症以上が約2割に及びます。高層階ではなく、2階からの転落であっても、入院が必要な中等症のケガを負う事例が多いそうです。
月別の発生時期を見ると5月が一番多く、次いで10月の秋ごろに事故が多く起こっています。気候がよく、窓を開けっぱなしにすることも多い春ですが、お子さんが小さいご家庭は特に気をつけましょう。
子どもの転落対策は生後半年ごろから!
赤ちゃんは生後9カ月ごろにつかまり立ちをし始めますが、発達が早いお子さんだと、生後半年ごろに始める子もいます。生後11カ月ごろにつたい歩きを始めて、椅子などをつたってテーブルやソファなどに乗るようになります。
3歳以上になると、物を積み重ねて高いところへ行こうとする行動もよくするようになります。4、5歳では出窓など高いところへ自分で登り、ジャンプするなど、アクロバティックな動きもよくするようになります。
子どもの転落対策は、お子さんが動き始める生後半年を過ぎたころから始めておきましょう。
実際に起きた事故から学ぶこと
実際に発生した転落事故についてご紹介します。
窓際にベッド、網戸が破れて…
よくあるのが窓際にベッドが置かれていて、ベッドから窓を開け、その窓から転落してしまう事故です。網戸や手すりに寄りかかるなどして、網戸などが壊れて転落する事故も発生しています。
「マンション3階の窓際にベッドがある部屋で、一人で遊んでいたところ、窓の網戸が破れコンクリートに墜落。脳震盪(のうしんとう)による意識障害および顔面や手足の打撲とケガにより、入院7日間。(4歳)」
出典:消費者庁
開いたままの窓から転落
「かくれんぼをしていて、開いたままの窓から玄関外のコンクリート部分に転落。太ももの骨を骨折。(6歳)」
出典:消費者庁
「網戸があるから大丈夫」「1階だから大丈夫」ということはありません。子どもは親の想像を超えた行動を起こす可能性もあることも念頭に入れておきましょう。
転落・墜落事故の対策
では、子どもの転落・墜落事故を防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか。
ベランダやバルコニーに物を置かない
まずは、ベランダやバルコニーに物を置くのはやめましょう。エアコンの室外機は手すりから60cm以上離して設置し、距離がとれない場合は子どもが登れないように上に板を斜めに取り付けたり、上から吊るして設置したりすることも検討しましょう。
子どもはやる気になったら、大きなソファでも動かしてしまうことがあります。「物が手すりから離れているから大丈夫」というわけではありません。バルコニーリビングなどは、お子さんが大きくなってから計画してください。室外機以外にも、植木鉢や三輪車などのおもちゃ、家庭ごみ、ゴミ箱なども置かないようにします。
子どもが窓を開けない工夫をする
小さいお子さんが自分で窓を開けられないようにしましょう。事故を防ぐには、子どもをひとりにしないことが大切ですが、四六時中見張っているのも難しいので、ドアの上部など子どもの手が届かない高さに補助鍵をつけて事故を予防すると良いでしょう。
窓に面格子を設置する
窓際にベッドやチェストなど子どもの踏み台になってしまうような物を置かざるを得ない場合や、手すりのすき間が広い場合などは、面格子などの柵を取りつけることを検討してみてください。お金のかかる工事が必要になってしまいますが、子どもの命には代えられません。
窓を開けた部屋では子どもだけで遊ばせない
窓が開いた部屋で、子どもだけで遊んでいるときに事故がもっとも多く発生しています。窓を開けた部屋やベランダで、子どもだけで遊ばせないようにしましょう。また、短時間であっても子どもだけ家に残して外出しないようにしてください。
<参考>
(※1)消費者庁「窓やベランダからの子どもの転落事故に御注意ください!」(令和2年9月4日)
(※2)東京消防庁「こどもが住宅等の窓・ベランダから墜落する事故に注意!」
◇ ◇ ◇
子どもにいくら注意するよう伝えても、好奇心旺盛な子どもに危険を認識してもらうのはなかなか難しいものです。まずは事故が起こらない「しくみ」を考えて対策しておきましょう。