修正手術の日が決定したけれど…
明確になった予定日を聞いて、初めて娘が「手術しなきゃダメなの?」と疑問を投げかけます。
私は、言葉で口唇口蓋裂に対して娘に説明しても伝えきることは難しいと思いました。
そして、どうしようかと悩んだ結果、娘が生まれたときの写真やアルバムを使いながら、今回の手術について5歳の娘にも理解できるよう、できるだけ簡単に説明をしてみることに。
初めての口唇裂手術、翌年の口蓋裂手術。
赤ちゃんのころからこれまでに、撮った5000枚以上の娘の写真には、たくさんの思い出とともに、今の娘に繋がっている治療の過程がしっかり残っています。
口唇裂手術前の自分の姿をまじまじと見ながら「痛そう」と言う娘。
「このときはホッツ床(※1)を使ってミルクを飲んでいたけど、お口にこすれてできもの(潰瘍)ができたりして、痛いこと事たくさんあったと思う。でも、この写真をみると、乗り越えてちゃんと大きくなってくれたから本当にすごいねってパパもママもずっと思うんだよ」と、これまでの手術や治療について説明していきました。
どの治療もいまだに鮮明に覚えているくらいに、その一つひとつをこれまで小さな体で乗り越えてきてくれたことも、一緒に思い出すと、自然と尊敬と感謝がこみ上げるほどです。
(※1)ホッツ床(しょう):口の中の型を取って作るプラスチック製のプレート。上あごの口蓋裂部分を覆うことで、哺乳を助けたり、舌の機能を正常化することができる。
本当は、やるかやらないかを決められる修正手術。
でも、今度の手術を終えることで、今よりもお鼻での呼吸がしやすくなり、なによりもこれから学校に通うときに、今よりも楽しく過ごせる時間が増えるのなら、受けてほしいとママは思っていると、今回の手術に対しての私の率直な考えを娘に伝えました。
プレッシャーにならないようにと言葉をできるだけシンプルに選んでも、手術を受ける本人からしたら、やはり怖いものは怖い。
その気持ちも存分に汲んで、どうしても嫌となれば、いざとなったら担当の先生とも相談して、様子を伺おうと覚悟もしていたのですが……。
どう伝わったのかははっきりわかりませんでしたが、娘の手術に対する考えが少し頭によぎったようで、たくさんの写真を見ながら「頑張ってみようかな」と小さな声が出ました。
手術までこの気持ちが浮き沈みすることを考慮し、あとは寄り添って見守ることにしました。
2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修/助産師REIKO