ベビーカレンダーをご覧のみなさん、こんにちは!助産師のREIKOです。
自ら乳がんであることを公表し、日々ブログを更新されている小林麻央さん。小林麻央さんも子育て真っ最中のママの1人ということもあり、「私は大丈夫かしら?」「もし、私も癌だったら・・・」と心配になったママも多いのではないでしょうか?
そこで今回は妊娠・出産と乳がんについてお話ししたいと思います。
乳がんってどんな病気?
乳がんは、40~60歳代の閉経前後の女性が多く罹る乳房の悪性腫瘍です。厚生労働省の2015年の統計でも女性が罹る癌の中で割合が最も高く、乳がんで死亡する割合も癌全体の5位となっています。
乳がんが増加していることの背景には、食生活の欧米化や女性のライフスタイルの変化に伴う晩婚化・少子化が影響しているとの指摘もあります。
子育て中のママに当てはまる乳がんのリスクファクターとして、ご家族の中に乳がんに罹ったことがある方がいる、11歳以下で生理が来た、初めての出産が30歳以上だったなどが挙げられます。
妊娠と乳がん
妊娠中に乳がんが発見されるケースも少なからずあり、3,000人に1人の割合ともいわれています。
妊娠中でも乳がん検診を受けることは可能です。触診や超音波検査などはママにも赤ちゃんにも影響がないので行うことができます。しかし、妊娠中は乳腺が発達するため、確実な診断は難しいのが現状です。
もし万が一、妊娠中に乳がんと分かった場合、乳がんの進行状況と妊娠週数によって治療方針が変わってきます。乳がんと診断されても赤ちゃんを諦める必要はないといわれていて、中には手術や抗がん剤治療を行って、出産されたママもいらっしゃいます。
また、ママが乳がんであることが、おなかの中の赤ちゃんに直接影響を及ぼすこともありません。癌細胞が赤ちゃんにうつってしまうなんてこともありません。ただ、ママが行う治療の影響を受ける可能性はゼロではありません。
産後ママと乳がん
母乳育児のメリットの中に「癌になりにくい」ということがあります。しかし、妊娠中と同じように産後まもなく乳がんが発見されることがあり、授乳中も乳腺が発達している状況に変わりがないので確実な診断が難しいといえます。
そのため、問題がなければ、産後の乳がん検診は卒乳後でいいとされています。妊娠中と違い、産後は触診、超音波検査に加えて、マンモグラフィーも行うことができます。
産後、乳がんの治療を行う場合、授乳を中止しなければならないことがあります。たとえば、抗がん剤治療。抗がん剤の多くが母乳に混入して、それを赤ちゃんが飲むことで何らかの悪影響が出る恐れがあるからです。しかし、治療が終われば、授乳を再開することも可能です。
セルフチェックをしよう!
妊娠中・授乳中はなかなか診断が難しい乳がんですが、やはり日ごろからのセルフチェックが大切だと思います。セルフチェックって難しそう・・・と思う方もいらっしゃるかもしれません。
まずは見た目から観察してみましょう。左右差はないか、大きさは? 皮膚がひきつれていたり、えくぼのようなへこみはないかなど、”ふだん通りの”おっぱいかどうか、チェックしてみましょう。
触診は少し難しいかもしれませんが、入浴中やお休み前におっぱい全体、わきの下にしこりがないかチェックしてみましょう。授乳中の方はおっぱいが張っていたり、おっぱいが溜まってできる乳瘤が触れたりして、しこり!?と思うことも。しかし、触ったときにしこりが動く、授乳後はしこりが小さくなるなどの場合は乳がんではないと考えられます。
乳がんは女性がいちばん多く罹る癌ですが、早期発見・早期治療を行えば、助かる可能性が高い癌でもあるといわれています。自分のことより赤ちゃんが優先!となりがちですが、それでママの身に何かあったら子育てどころではなくなってしまいます。日ごろのセルフチェックだけでなく、定期検診も受けるようにしましょう。また、気になることがあれば、かかりつけ医や乳腺外科に相談してみてくださいね。
医療短期大学専攻科卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。