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「諦めなさい」中絶を経験→病気で妊活中止。当たり前だと思っていた妊娠・出産、現実は険しい道のりで

結婚したら、妊娠して出産することは当たり前だと思っていた。そんな私が、「妊娠や出産は奇跡なんだな」と感じたある出来事をお話しします。

初めての妊娠、しかし…

私たち夫婦は、2017年10月に結婚し、翌年1月に妊娠しました。そのときは、「何もかも順調にいく。結婚したら妊娠して出産するのが当たり前」と思っていました。

 

しかし、妊娠判明から2回目の健診のとき。超音波検査で赤ちゃんにNT(胎児項部透過像:赤ちゃんの首の後ろに見られるむくみ。NTは正常な胎児にも認められますが、NTが厚くなると、染色体の異常の可能性が高くなるという研究報告があります)であることがわかりました。聞いたこともない単語に戸惑いましたが、その後、すぐに総合病院へ転院。妊娠初期にもかかわらず、1週間に1回の通院をしていました。

 

次の健診でNTが薄くなることを祈りましたが、どんどん分厚くなり、3カ月目には心臓病も判明し、再び転院しました。

 

義両親や両親からは「もうあきらめなさい」と言われていましたが、どうしてもあきらめられず、人工妊娠中絶が可能な時期ギリギリまで悩んでいました。しかし結局、私の体調を考慮し中絶せざるを得ない結果になりました。

 

その後、赤ちゃんは…

中絶手術のための入院当日は、ラミナリア(子宮頸管を広げる処置の際に使用する5cm前後の長さの硬いの素材の棒状の物)を使うことになり、もう、その時点で子宮口は柔らかくなっていたらしいです。次の日は早朝から腟に直接陣痛促進剤を入れました。「効果は人それぞれで、今日は2回入れるね。5日続けて陣痛こなかったら帝王切開になります」と事前に受けた説明で、長丁場を覚悟しました。

 

しかし、陣痛促進剤を入れて30分経たないうちに今まで経験したことのない痛みが。看護師さんに声をかけましたが、「さっきお薬入れたばっかりだから」と言われましたが、「どう考えても痛い」と思い、痛みに耐えながらトイレに。すると「股の間に何かある」と思い、急いでナースコール。そこに登場したのは私が大好きな助産師さんで「大丈夫? 見てみよっか? あらら。赤ちゃんの袋が出てるね。陣痛室はパスだね」とすぐに分娩室へ行くことに。担当医の先生もびっくりしていて、そこから15分ほどで生まれてきてくれました。

 

助産師さんに「親孝行な子やね」と言われ、私も激しくうなずきました。病院に駆けつけた夫もあまりのスピードにびっくりしていました。その日1日は入院しましたが、次の日には退院。悲しくて悲しくてずっと泣いていました。すぐに火葬もしましたが、心に穴が空いた状態で何も考えたくありませんでした。

 

手術から2週間が経ち、病院で子宮を確認してもらい、「また落ち着いたら妊活しよう。あの子にまた戻ってきてほしい」と思っていました。しかし、簡単にはいかず……。

 

 

さらに病気が判明し…

病院へ行った次の日。朝起きて「足が痛い。こむら返りかな?」と思いながらトイレに行き、トイレから出たら余計に痛くなって、一瞬目の前が暗くなりました。めまいがあり、倒れそうな私を夫がキャッチしてくれ、足を見ると変色していました。元々まだらな足の色なので、私はあまり気にしていませんでしたが、夕方になると子宮まで痛くなってきたので病院に電話。すると、「すぐ来るように」と言われました。

 

人生で初めての救急車。そのころには痛みがなかった私は、のんきに考えていました。緊急外来の先生は「通院で大丈夫やろうけどCT撮るね」と言ったものの、撮ったあとの先生の顔色が変わりました。そして「即入院」と言われ、「深部静脈血栓症(足から心臓へと血液を戻す下肢の深い部分にある血管に血の塊ができて詰まってしまう病気)」と言われました。

 

「薬が効いたらいいけど、いつ肺や脳に飛ぶかわからない。そうなれば即手術」と言われ事の重大さがわかりました。そこから2週間入院し、悪化することなく、無事に退院できました。ただそこから投薬が続き、2年間は妊活禁止になったのです。その後も2回、流産が続きました。そして、私の足にはまだ石化した血栓があります。

 

 

多くの経験を経て、2021年にやっとわが子を抱くことができました。この子を妊娠中も出産時も不安なことがたくさんありました。結婚したら妊娠して出産する。それは決して当たり前じゃないということを日々実感していますし、そんな当たり前じゃない日常を大切に過ごしていきたいと思っています。

 

※人工妊娠中絶は、母体保護法により定められた適応条件を満たしている場合に限り、施行されます。本記事の内容は、母体保護法 第14条 第1項 第1 号「妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」に該当します。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

 

監修/助産師 松田玲子


著者:石田みこと

2021年生まれの女の子のママ。

 

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