「カズ君、私たちが出て行った日、何の日だったか覚えてる?」
「あの日は……結の誕生日だっ……!」
夫はずっと、どうして妻が家出したのかわからなかった。でも、この質問でようやく自分の過ちに気づいた。
妻は夫が自分のことを見下していても、家事をどれだけ頑張っても感謝すらされなかったことも、我慢できた。自分のことはいい。でも、娘のことは、耐えられなかった。生まれて初めての誕生日くらい、気にかけてほしかった。
「離れてみて、ようやく決心がついたよ」
妻が夫に告げた、決心とは……!?
「決心がついたよ」妻が手に取ったものとは!?
毎日夫の言動に思い悩み、一人で娘の成長を噛みしめる寂しい日々を送っていた。
でも、実家での子育てでは、家族や近所の人に見守られ、娘をみんなで可愛がってくれている。夫の言葉や態度一つひとつに、いちいち悩んだり、心を痛めることもなかった。
「呼吸がね、しやすかったんだ」
「雪穂……それってどういう意味……!?」
夫を置いて自分の部屋へ戻り、離婚届を手にとった妻。ついに心のうちに決めた思いを伝えるとき。
そう思っていると、なんと深夜に娘が起きてしまって……!
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