こんにちは、助産院ばぶばぶ・院長のHISAKOです。今年もあと1カ月ほどで終わりですね。新年になると日本人ならほとんどの人が食べるのがおもち。今日は授乳中のおもちについてお話しします。
おもちを食べるとおっぱいが詰まる?
「おもちを食べるとおっぱいが詰まる」という話。なんとなく聞いたことがあるのではないでしょうか。おもちを食べるとおっぱいの分泌量は確かに増えます。食べると血糖値が急速に上昇し、血糖値の高い状態が長く続きます。その結果、母乳がマヨネーズ状態になってしまいます。
「腹持ちがいい」食材は、血液を粘っこくします。母乳は血液の加工品なので、その性状も粘っこくなります。そうすると、おっぱいにしこりができやすくなり、流れが悪くなり、乳管が詰まり、やがて乳口炎となります。つらいおっぱいトラブルへ一直線です!
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おもちがおっぱいにいいのは昔の話
おもちは昔、お正月やおめでたい日に食べる特別な食べもので、ふだんは質素な食事しか食べられませんでした。お産は今と比較にならないほど命がけの大仕事でした。栄養も衛生状態も悪かったから、産後の肥立ちも悪く、体調を崩したり死亡する産褥婦が多かった時代がありました。そんな時代だったら、おもちを食べても乳腺炎など無縁だったかもしれません。
おもちは豊かさの象徴でもあり、せめて産後はおもちでも食べさせて、お産を労ってあげようという思いやりの気持ちから、「おっぱい=おもち」の概念が生まれたのでしょう。
おっぱいが詰まりやすい人は要注意
でも、現代は飽食の時代です。おもちのようなカロリーハイパーなものをしょっちゅう口にすれば、えらいことになります。乳房が張る=おっぱいがたくさん出る……。いえ、それ以前に母乳がドロドロになっちゃいます!母乳はただたくさん出ればいいってモンじゃありません。人によっては1回食べただけでいきなりおっぱいトラブル!ということもあります。
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おもちを食べても平気な人も
逆に、ママのおっぱいが先天的に優秀で乳頭・乳輪の形態が最高品質だとか、人より乳管が太いとか、分泌量が多すぎない絶妙な体質のママだった場合。飲み方が上手で、口に入るものなんでも来い!という、細かいことを気にしないおおらかな赤ちゃんの場合など、ラッキーな条件がすべて揃っている親子の場合には、これでもかってほど、おもちを食べてもおっぱいはウンともスンとも無事なこともあります。
お正月には縁起物なのでぜひ食べたいおもち。自分の状況、体質、受け入れてうまく適応できるといいですね。日頃から詰まりやすい人は注意してくださいね。年末年始は病院もお休みなので、おっぱいが急激に張っても行けない!ということもありますよ。
著者:助産院ばぶばぶ院長 助産師HISAKO
総合病院小児科・産婦人科・NICU病棟勤務を経て、地域での助産師活動・出張専門『助産院ばぶばぶ』を開業。2006年には来院ケアも可能な「助産院ばぶばぶ」をオープン。2014年10人目出産し、ママたちに元気と勇気をおすそ分けすべく母乳育児支援や講演活動、書籍出版など多岐にわたって活動中。