付き合うとか絶対ありえないね
彼女とは同じ専門学校に通っていましたが、それほど関わりがあったわけではなく、共通の友人を通じて数人と食事へ行ったことがきっかけで出会いました。最初に会ったときから気が合い、翌日も一緒に買い物に行くほどに。毎日の電車通学もなんとなく時間を合わせるようになりました。
そんな彼女と週に1、2回ほど遊ぶ仲になりましたが、お互いに言っていたのは「付き合うとか絶対ありえないね」ということ。お互いに好みのタイプではないし、ということを共有し合っていました。
僕としては同性の友人のような関係だったのです。
社会人になっても変わらぬ関係だったのが…
専門学校卒業後はお互いに別の業界へ就職し、会う時間も減るかと思いましたが、時間を見つけては学生のころと変わらず遊んでいました。学生のころもそうですが、社会人になってもお互いに彼氏、彼女がいたので、会うとお互いの恋愛について相談し合うことも。僕も彼女も、お互いに異性としての興味がなかったので、かなり突っ込んだ会話をしていました。
それから社会人になってから2年ほど経ったある日、僕も彼女も付き合っている相手がいないという珍しいタイミングで、2人でお台場へ遊びに行くことになりました。
いつものようにいろいろな会話をしながら食事をし、おなかがいっぱいになったところで店を出て、外のデッキを歩いていたときに、僕はふと自分の中に心境の変化を感じて……。
そして、気づけば僕は彼女の手を握っていたのです。
友人からパートナーへ
彼女から拒まれることもなく、僕たちは手をつないだままお台場のデッキを歩いていました。その中で、僕の思いは確信に変わりました。「僕は、彼女とこれからも一緒にいたいんだ」と。
とはいえ、これまで友人として接してきた彼女。恥ずかしさもあった僕は彼女に「付き合う?」とひと言だけ。すると彼女は「うん」と返事をしてくれ、知り合ってから6年目に僕たちは付き合うことになりました。
付き合ってからも基本、2人の関係は変わりませんでしたが、なんとなくちゃんとしたデートをするようになった気がします。初めて伊豆へ車で旅行に行った際には少し贅沢なホテルに泊まり、伊豆の海の幸や温泉を堪能しました。そして付き合って3カ月が経過したある日、海で上がる花火大会を見に行くことになり、場所取りをするためにまだ明るい時間から花火を見下ろすことのできる穴場ポイントへ。
僕はここでプロポーズを計画していました。事前に婚約指輪を用意しておき、タイミングを見計らっていたとき……ふと彼女が私の上着のポケットに手を入れてきたのです。そのポケットには用意していた指輪の箱が入っていました。
すると彼女が「あれ、なんか入ってる。指輪じゃない?」と。なんて勘が鋭いんでしょうか。計画していたロマンチックなシチュエーションではなくなりましたが、私はそのままポケットから指輪を出して「結婚しよう」と伝えると、彼女は「うん」と答えてくれました。
彼女と付き合ってから3カ月目での結婚となりました。
結婚した今でもお互いに「タイプじゃない」というのは変わりませんが、友人のような仲の良さも変わりません。今では子どもに恵まれ、幸せな家庭を築くこともできています。結婚は一生涯寄り添うパートナーを選ぶ難しい選択のように思えますが、実はすぐそばにその相手がいることもあるのではないかなと思いました。
著者/幸野 龍
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