ずっと、夫が父親らしくなるのを待っていたけれど、その時が訪れることなく、夫は変わらないままだった。
さらに夫は妻へ「前はもっと優しかったのに、子どもを生んだら変わっちゃたね」「前の雪穂に戻ってよ」と言い、変わったことを嫌がっているようだった。
ねぇ、なんで、逆にあなたはこんなに変わらないんだろう。
変わろうとしてくれないの?
夫が変わることを望む妻と、妻が変わらないことを求める夫。思いがすれ違い、当時の生活に歪みを生じさせてしまっていたのだった。
私たち、うまくいくはずがなかったんだ。
「こうやって思い返すとさ、うまくいくわけがなかったよね、私たち」
夫が変わることを望む妻と、
妻が変わらないことを望む夫。
お互いに求めるものが違っているのに、それを言葉にしなかったから、歪みが生じてしまったのも仕方がないこと。
「でも、カズ君は歩み寄ってくれた……!」
夫が変わってくれた……父親としての自覚を持って、意識を変える努力をして、歩み寄ってくれた。妻は夫にようやく自分の思いが伝わったことが、うれしくてたまらなかった。
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