付き合って初めてのサークル合宿
私たちが付き合い始めてから、初のサークル行事が夏合宿でした。夏合宿は、海の近くのコテージを貸し切り、スポーツの傍らバーベキューや海水浴を楽しむもの。
このときは、まだほかのサークル仲間に彼と付き合い始めたことを伝えていなかったこともあり、表立って彼と話すのはどこか恥ずかしく、合宿中はなんとなく別々に行動していました。
とはいえ、私の中にはせっかく付き合って初めてのイベントなのに、「彼と一緒にいられなくてなんだかつまらない……」というモヤモヤとした気持ちも。
まったく話せずふてくされた夜
夜の飲み会になれば、どんちゃん騒ぎに乗じて話せるかも!?と思っていましたが、彼は友人に囲まれて飲めや歌えやの宴中……。私はあまりお酒が飲めないタイプなので、その中に入ることはできず、結局まったく話すことはできませんでした。せっかくのイベントなのにな、とふてくされてしまった私は、きりのいい時間に飲み会の会場から退散。部屋へと戻り、なんとなく寂しくなり布団の中で少し泣きながら眠りにつきました。
ぐっすり眠り、次の日は朝早くに目が覚めました。同じ部屋の友だちはまだみんな眠っていて、「みんなが起きるまでなにをして過ごそうかな……」と考えたとき、合宿に行く前の彼とのデートで「一緒に海を散歩したいね」と話していたことを思い出しました。彼はいないだろうとわかっているけれど、わずかな期待を抱いて、私は朝の海をひとり、散歩しに行くことにしたのです。
早朝の海で…通じ合ってると思った瞬間
早朝の海へ行くと、風が気持ちよく涼しくて晴れやかな気持ちになりました。砂浜にある岩に座ってぼーっと海を眺めていると、端のほうから歩いてくる人の姿が見えたのです。こんな早朝にも人がいるんだな、と思っていたら……なんとそれは彼でした。
その瞬間、マンガのように世界がキラキラして見えて心がときめいたのを覚えています。彼も私がいるとは思っていなかったようで、びっくりしている様子でした。
そして、私が「どうしているの?」と尋ねると「目が覚めたとき、一緒に海を見たいねと話していたことを思い出して」と言うのです。私とまったく同じことを考えて海へきたということがうれしくてたまりませんでした。それから、私たちは誰もいない海でゆっくりと2人で話すことができて……。
私にとって、この夏合宿が忘れられない素敵な思い出になりました。
マンガのような話ですが、正真正銘の実話です。今思えば先にスマホへ連絡するなど手段はあったのですが、なにも伝えずとも朝の海で奇跡的に会えたことに感動してしまいました。現在、彼は夫となり、今でもスーパーで買うものや息子への対応など、以心伝心しているように感じて驚くことが多いです。「この人とは通じ合ってるんだな、結婚できてよかったな」と実感しています。
著者/上野万里
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