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<リオ金メダリスト 髙橋礼華さん>「なんでやってくれないの?」ワンオペでパパにイライラすることも…。それでもポジティブでいられるのは…

2022年2月に第一子を出産した元バドミントン選手の髙橋礼華さん。髙橋さんは2016年のオリンピックで、日本のバドミントン史上初の金メダルを獲得した金メダリストです。旦那さんは現役アスリートで海外が拠点になっているということから、ワンオペ育児をすることが多く、日々奮闘しているという髙橋さん。今回は初めての育児についてお話を中心に伺っているほか、出産後に変化したというパパとの関係性についても取材させていただきました!

産後は気持ちのアップダウンが激化! パパへのイライラが増えて…

ー2月に第一子となる娘さんをご出産されまして、本当におめでとうございます!初めての育児はいかがですか?

 

髙橋さん:新生児のときが一番きつかったですね。私も寝不足になってしまうし、ちょっと泣いただけで、「あぁっ、大丈夫かな?」「どうしようどうしよう」ってなってしまって、2カ月くらいまではてんやわんやしていました。最近ではようやく「ちょっとくらい泣かせておいても大丈夫」って思えたり、グズグズしている日は「そんな日もあるよね~」って話しかけたりして、自分の気持ちに余裕が出てきました。

 

ー育児に対して余裕が出てきたんですね。

 

髙橋さん:毎日接することで、娘の性格もちょっとずつわかるようになってきたかなと思います。でもやっぱり、毎月"生後何カ月"って迎えるごとに、赤ちゃんのできることが増えると、ママの対応もその都度変わってくるじゃないですか? 例えば、生後7カ月のころは、歯の生え始めで気持ち悪くて泣いちゃっていたんですけど、最初は私も何で泣くのかがわからなくて戸惑っていたんです。そういう小さなことが結構あるので、そういう部分は大変だなぁとは思いますね。

 

ー産後、生活面やメンタル面で、大きな変化を感じることはありますか?

 

髙橋さん:自分の時間が少ないことくらいですかね。特に日中は、ゆっくり座っている時間が少ないかな。あと、他の人と比べられないのでわからないんですけど、よくイライラするようになってしまったのかもしれないです。娘に対してというよりは、パパに対しての気持ちのアップダウンがすごい激しくなりました。

 

ー具体的にはどういうことでしょうか?

 

髙橋さん:自分もアスリートだったから、現役アスリートであるパパには、睡眠を大事にしてほしいし、体に負担をかけさせちゃダメだよなぁと、労わってあげたい自分もいるんです。でも、育児に対しては「なんでコレやってくれないの?」ってイラッとしてしまう自分もいたりして……。例えば、最近は娘が寂しがり屋で、私たちの食事中にグズってしまうことがあるんですけど、私が抱っこしてくれるものと思っているのか、動いてくれなかったり……。基本的に「ママがやるだろうな~」ってスタンスで待っているように見えて、たまには"自分からやってくれてもいいのに!"と思っちゃうんですよね。

 

ー産後に夫婦の関係性が変わるのはよく聞く話ですよね。

 

髙橋さん:パパは仕事で海外にいることが多いのですが、一緒にいる時間や育児に関わる時間が短い分、家に帰ってきたときは、主体的に育児に関わったり、娘と触れ合う時間を多く取ってほしいという気持ちになってしまうんです。そういった葛藤が自分の中にあって、私のコンディションが悪いとイライラしてきちゃうんですよね。

 

―それでケンカになってしまったりすることは?
 

髙橋さん:ケンカはないですが、私が一方的にイライラしています(苦笑)。離乳食も言えばやってくれるんですけど、食べさせるものとか量とか、ママだってすべてが手探りじゃないですか。それを「何時にあげればいい?どれくらいあげればいい?どうすればいい?」って一つひとつ聞いてこられると、"私だって正解がわからずにやってるんだよ!ちょっと自分なりにやってみてよ!!"って思っちゃいます。

 

―今、日本の母たちが頷いていると思いますよ。
 

髙橋さん:でも、日本の父たちに怒られちゃいますね。「聞かなきゃ聞かないで後々何か言うんでしょ」って(笑)。

 

 

選手時代に培ってきたことが、育児にも反映されて

ー日々ワンオペ育児とのことですが、赤ちゃんの夜間対応も、おひとりで頑張っていらっしゃるんですよね。大変ではないでしょうか?

 

さん:それが生後3カ月くらいから、夜中に起きることがほとんどなくて。21時くらいまでに寝たら、5~6時まで寝てくれるんです。今は歯の生え始めだからか、朝方に起きてしまうこともあるんですけど、それでもトントンとか抱っこですぐ寝てくれるので助かっています。なんでかはわからないんですけど、周りの友人に聞くと、アスリートの子どもはすごい寝ているイメージがありますね。

 

ー離乳食も始まっているそうですね。苦戦するママも多いですが、髙橋さんはいかがですか?
 

髙橋さん:最初の1週間くらいは泣いて食べていましたね。口が開いた隙にパッと入れてみたりして、いろいろ試していました。でも今はもうなんでも食べてくれますよ!

 

ーお話を聞いていると、何事も落ち着いてこなしている印象を受けたのですが、子育てをしていて「つらい」とか「しんどい」って思うことはないですか?

 

髙橋さん:私はバドミントンの現役時代も、落ち込むのはその日だけにして、翌日にはケロッとするように意識的におこなっていました。そのため、育児でも「昨日たくさん泣いたから、今日も泣くんだろうな」じゃなくて、「今日はどんな日になるだろう?」って思うようにしているんです。そりゃあ1時間も泣き続けたら「んもぉ~!」ってなることもありますけど、「じゃあ今度は自分の顔を見に行こう!」って鏡の前に連れて行ったり、寝ない日も「まだ眠くないんだね~、よしじゃあ一緒にゴロゴロしてよう!」とか、これがダメなら次違うことをしてみようって思っていろいろ試しています。

 

ー前向きに育児に向き合っていて素敵ですね。

 

髙橋さん:ありがとうございます。バドミントンの選手時代に学んだことが育児に役立っているなぁって思っています。勝負の世界なので、いろいろと戦略を立てて試合に臨んでいたわけですが、それが育児にも通じるなぁって。例えば、最近だと「どの作戦で笑ってくれるんだろう?」って探すのが、クセになってる自分がいます。

 

ー髙橋さんが楽しみながら、育児に取り組んでいるのが伝わってきます。

 

髙橋さん:娘は泣いていてもかわいいし、自分で望んだ子なので、基本的には大変さも楽しんでいますね。逆にこの子がいることで1日があっという間で、自分の時間が減ったり、美容院に行きたいのに行けないなぁとかもありますけど、暇を持て余すことがなくて大変だけど楽しい! 矛盾していますけど(笑)。朝起きて、娘を着替えさせて洗濯して自分のごはんを食べていたら、「あ!娘の離乳食だ!」ってなって、離乳食を食べさせたら、今度は「お昼だから、買い物に行かないと!」みたいな感じ。時間の流れが本当に早く感じるようになりました。

 

―すでに答えは出ている感じもしますが、「子どものいる生活っていいな」と思うのはどんなところでしょうか?

 

髙橋さん:引退してから、特に目標もなかったんです。夢とかもなかったんですけど、娘がいるだけですごく頑張れるっていうか。仕事に関しても例えば自分の苦手な仕事が来ても、「この子のために頑張って働かないと!」って思いますし、なんかもうすべてが楽しいです!

 

―お仕事ですが、今後はどのように取り組まれていくご予定ですか
 

髙橋さん:今はまだジュニアのコーチに復帰はできていないんですけど、将来的にはジュニアのコーチにいつかまた復帰したいなって思っています。合宿となると、1週間行かなきゃいけなかったりするんですよ。娘もまだ小さいですし、一緒に居られるうちは一緒に居たいって思っているので、少し先になるとは思いますが。

 

 

産後コロナウイルスに感染!娘がみなし陽性に…

―普段育児はほぼワンオペということですが、ご自身的にはつらくはないですか?
 

髙橋さん:いろいろとやることが多いので、なんか良い運動になるなとは思っています。それなのに痩せないのはどうして?って……(笑)。ただ、娘はよく寝てくれる子で、さらに夜泣きも少ない状況なので、その点はとても助かっていますね。他のママのお話も聞いたりするんですけど、「私がつらいとか言ってちゃダメだなー」って思うことも多いです。

 

―そうですか。そういう風に冷静に思えるのは、髙橋さんの強さだと思います。


髙橋さん:私はバドミントンの練習のほうがきつかったので、そう思えるのかもしれないです(笑)。そういえば、今年の7月にコロナに感染してしまったんですけど、そのときはワンオペだったことで、娘がみなし陽性になってしまったので、精神的には結構つらかったですね……。

 

ーそうでしたか。どのような経過だったかお聞きしても良いですか?

 

髙橋さん:最初はのどが痛くて冷房をかける時期だったので、そのせいかなと思っていたんです。でも翌日になるとだるくなって、熱が出て……。すぐに抗原検査をして陰性だったんですけど、寒気がすごいし、食欲もなくなってしまったので、翌朝もう一度検査をしたら陽性結果が出たんですよ。熱は4~5日で下がり、体調も落ち着いたんですけど、当然娘の世話をしながらだったので、娘も発熱してしまって……。娘はオンライン診療でみなし陽性になったんですけど、熱は1~2日で下がりました。

 

ーそれは大変だったですね……。ママだけ隔離しておくのは、現実的には難しい時期ですよね。

 

髙橋さん:はい。極力必要以上の接触は避けていたんですけど、まだ離乳食が始まる前で、母乳しか栄養がないので、授乳はしなきゃいけないですし、ほとんど私が見るしかなかったので……。娘には申し訳ないなと思いながら育児をしていました。
 

―その時期は精神的につらかったと思いますが、2人とも回復されて本当に良かったです。ただ、これまでのお話を聞いていると、髙橋さんは気持ちの切り替えがうまくできているように感じました。気持ちを切り替えたいとき、具体的にどのようなことをされていますか?

 

髙橋さん:私は漫画を読んだり、好きなアイドルのYouTubeを見たり、お笑いも大好きなのでお笑いの動画を見てたくさん笑ったりしています。そうすると、「あー!最高!」ってなって、嫌なことは忘れちゃいますね。ひとりの時間を楽しめるタイプなので、気持ちが落ち込んだり、気持ちを切り替えたいってときは、自分の好きなものに浸ることでモチベーションを上げています。

 

―ありがとうございます。では最後に、読者の方にメッセージをお願いいたします。
 

髙橋さん:つわりから始まって、妊娠・出産、そして赤ちゃんの育児と経験してみて、女性にしかできないことも多いと実感しています。きついことやつらいこともたくさんあったかもしれないんですが、それでも過ぎてみればあっという間でした。大変なときは、旦那さんや自分の実家、旦那さんの実家に頼ったり、自治体のベビーシッターの制度を利用したりもしています。周りの人を頼って、でも自分も楽しんで、私も皆さんと一緒に頑張っていけたらなって思っています。育児は大変なことも多いと思いますが、同じママ同士、頑張りましょう!
 

 

 

娘さんを抱っこしながら、明るく笑顔でリモート取材に答えてくれた髙橋さん。インタビュー中、ニコニコとやさしい眼差しで娘さんを見つめ、あやしていたのが印象に残っています。質問に答える1つひとつの言葉からも、本当に娘さんのことが愛おしいんだなというのが伝わってきて、ほっこりしました。これからもじょうずに息を抜きつつ、育児を楽しんでくださいね。

 


PROFILE:髙橋礼華さん

1990年4月19日生まれで、奈良県橿原市出身。元バドミントン選手。松友美佐紀さんと「タカマツ」ペアとして女子ダブルスで活躍。女子ダブルスのBWF世界ランキングでは1位に輝くなど、数々の国際大会で好成績を残し、2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、松友選手と女子ダブルスの代表に選出され、オリンピックでの金メダルを獲得した。2020年8月に現役引退を発表。また、同年の12月、日本ユニシス(現:BIPROGY)のチームメイトであった金子祐樹選手との結婚を発表する。また、2022年2月には待望の第一子となる女の子を出産した。

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    この記事の著者
    著者プロファイル

    ライター山口がたこ

    漫画も描ける主婦ライター。2016年生まれの「ムスメ」と出来すぎた「神ダンナ」との大阪暮らし。Instagramでは、おうちごはんや子育てエピソードを更新中!

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      確かにこれは苛立つ かもなあ
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      パパに対してイライラするの、とても気持ちよくわかります

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