【前回のあらすじ】子宮体がんになってしまい、約6時間におよぶ大手術を受けた、はなうたねこさん。子宮と卵巣を全摘し、周囲のリンパ節も44個切除しました。手術時には細胞を切り取り、医師が病理検査(細胞を顕微鏡で調べる検査)へ。その結果、がん細胞がリンパ節にも転移していて、子宮体がんのステージはⅢCだと判明。一旦退院し、約2週間の自宅療養と職場復帰を経たのち、抗がん剤治療を始めることになりました。
抗がん剤治療の始まり
ついに始まった抗がん剤治療。治療は1日で終わるものの、投与後のショック症状などを考慮して、2泊3日で病院に入院することになりました。
当日は、午前中に1種類目の抗がん剤を投与され、血圧、血中酸素飽和度、心電図のチェックも受けました。そして午後に、別の抗がん剤を投与。
※イラストに書かれているのは、実際に使用された抗がん剤の名前ではありません。
この時点では普段と同じように食欲があり、ショック症状は特になし。抗がん剤の影響なのか、眠気に襲われ、病室のベッドでウトウトしていると……
看護師さんが入院費の概算を持ってきて、一気に目が覚めたはなうたねこさん。2泊3日で費用は7万超えだったそうです。
そして、退院当日は迎えにきてくれたお姉さんとともに帰宅。このとき、お姉さんが「髪が抜けたときのために」と帽子を買ってくれたのだとか。
退院後のはなうたねこさんは、食欲はあって吐き気はなし、お通じも正常。しかし、手足や足の付け根、おへそまわりにジンジンとしたしびれが感じられました。しびれを緩和するためにロキソニンを服用しましたが、効果はありません。手術時にできたおなかの傷口から膿のような汁が出るのは、以前と変わらずでした。
ちなみに、体のしびれで一番困ったことは、
「鼻の穴がうまくほじれない! いつもとなんか違う!」だったそうです。
手術後はずっと時短勤務にしていたはなうたねこさんでしたが、幸いにも、抗がん剤の副作用でひどかった症状はしびれだけだったため、このタイミングで通常勤務に変更。手術直後に比べると、重い物も持てるようになり、通勤時もラクに歩けるようになりました。
そんな中、抗がん剤を投与してから11日が経過したときのことです。はなうたねこさんがお風呂に入っていると……。
ついにきました。抗がん剤の副作用である、脱毛です。
排水口に大量の髪の毛が流れていくそのさまは、まるでホラー映画のようでした。お風呂からあがったはなうたねこさんは、「ついにきたか……」と大量の脱毛にショックを受けながらも、「ハゲたらどうしよう……ウィッグのカタログは取り寄せたけど、あとでいいやと思ってまだ頼んでないし、今手元にあるのはバンダナと帽子だけだ」と、この先さらに薄くなるであろう頭部をどう隠すか悩みました。
結局ウィッグは買わず、会社ではバンダナを巻き、仕事以外の外出では帽子をかぶることにした、はなうたねこさん。朝の通勤電車内では、「周りの人たちに、なんであの人バンダナを巻いているんだろう?ってジロジロ見られたらどうしよう」と、ドキドキだったそうです。
そして、会社に到着。さすがに会社でバンダナを巻いているのは目立つので、親しい人たちにだけ事情を説明することに。すると、「うちの親戚も今がんの治療中でバンダナ巻いてるよ」「うちのお義父さんもだよ」と話してくれた、同僚や上司たち。
ーーなんだ、案外みんなの周りにもがんの人っているんだ。抗がん剤治療で毛が抜けてしまった人がバンダナを巻いたり帽子をかぶったりしている姿って、がんじゃない人からしても、けっこうフツーのことなんだ。
と、ホッとしたはなうたねこさんでした。
その後、大判のハンカチをバンダナ代わりにしたりして、洋服のトーンを合わせて毎日コーディネートを工夫するようになった、はなうたねこさん。
誰も気づいていないだろうと自己満足で終わっていたのですが、ある日、会社でお掃除を担当してくれているおばちゃんが「あら! 今日は赤なのね。いつも服に合わせてオシャレだね〜」と声をかけてくれました。いきなり褒められたはなうたねこさんは、うれしくもあったけれど、ちょっぴり恥ずかしかったそうです。
それからは、かぶりものの種類を増やすため、古いTシャツを筒状にしてバンダナを作ったり、100均で購入したランチョンマットで帽子を作ったり、後ろ髪がないのを隠せるような帽子を新調したり。
『がんサバイバー』として毎日をポジティブに生きるための工夫を始めた、はなうたねこさんでした。
監修/助産師 松田玲子
はなうたねこさんのマンガは、このほかにもInstagramで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね♪
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