ヒトが呼吸するのに欠かせない物質「肺サーファクタント」ってなに?

この記事では助産師のREIKOさんがヒトが呼吸するのに欠かせない物質「肺サーファクタント」について解説します。「肺サーファクタント」は、肺胞がつぶれないようする界面活性剤の役割を果たしています。呼吸窮迫症候群の治療には人工肺サーファクタントが使われます。

この記事の監修者

助産師REIKO

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

 

こんにちは!助産師のREIKOです。以前、生まれたばかりの赤ちゃんがどのようにして呼吸を始めるのか、お話したことがありましたね。赤ちゃんが生まれ、呼吸をするうえで、欠かすことのできない物質があるんです。この物質、赤ちゃんだけではありません。”ヒト”が呼吸するうえで欠かすことのできない物質なんです。そこで今回は、呼吸に欠かすことのできない物質「肺サーファクタント」についてお話したいと思います。

 

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「肺サーファクタント」ってなに?

呼吸の際、鼻から吸い込まれた空気は、気道を通って気管、気管支、そして肺胞に運ばれていきます。肺胞はとても小さな風船のようで、ここでガス交換がおこなわれます。

 

大人の肺には約3億個の肺胞がありますが、ここで分泌されているのが「肺サーファクタント」です。肺サーファクタントは、肺胞がつぶれないようする界面活性剤の役割を果たしています。

 

ふだん呼吸できるのは「肺サーファクタント」のおかげ

赤ちゃんが生まれて、産声を上げると同時に肺胞が広がります。肺サーファクタントが十分にあれば、肺胞を広げるのに大きな力はいりません。

 

肺サーファクタントのない肺胞を広げるのは、新品の風船を一気に膨らませるのと同じです。肺サーファクタントのない肺胞を膨らませるのには、かなりのエネルギーが必要で、呼吸を1回するのも大変になり、苦しくなってしまうんです。私たちが、なんの意識もせず、息を吸ったり吐いたりできるのは、「肺サーファクタント」のおかげなんですよ。

 

「肺サーファクタント」がないと……

赤ちゃんの肺サーファクタントは、在胎20週ごろから作られ始め、28週ごろになると増加し、34週を過ぎるとじゅうぶんな量になるといわれています。そのため、早産で生まれた赤ちゃんは、肺サーファクタントが十分に作られていない状態です。そのため、呼吸状態が悪く、「呼吸窮迫症候群(こきゅうきゅうはくしょうこうぐん)」を発症してしまうことが多いです。

 

この呼吸窮迫症候群は、早産児だけでなく、血糖コントロールが不十分な状態の妊娠糖尿病のママから生まれた赤ちゃんや、胎便吸引症候群(おなかの中で苦しくなった赤ちゃんが生まれる前に胎便をしてしまい、それを吸い込んでしまうことで起きる疾患)の赤ちゃんでも発症することがあります。

 

赤ちゃんの強い味方「人工肺サーファクタント」

以前、呼吸窮迫症候群は、早産児の死亡原因のひとつとされていました。しかし、肺サーファクタントを補充するための「人工肺サーファクタント」が開発されたことによって、状況は劇的に改善されたとのこと。しかも、この人工肺サーファクタント、日本で開発されたそうなんです。

 

私がNICUで働いていたときにも、人工肺サーファクタントには大変お世話になりました。人工呼吸器をつけていなければならなかったり、全身状態に注意して経過を見ていく必要はあるのですが、この人工肺サーファクタントを使うと、小さな赤ちゃんの皮膚の色がよくなり、呼吸も少しずつ落ち着いていくんですよ。

 

 

息を吸うと肺は膨らみ、息を吐くと肺は収縮して……と、当たり前のことだからこそ、ふだんはなんの意識もせずにヒトは呼吸をしています。でも、そこにはちょっと変わった名前の物質が重要な働きをしているんです。人知れず機能している体の仕組みのことを考えると、当たり前なこともちょっと不思議に感じますよね。

 

◆関連動画 出産ドキュメンタリー

 

 

 

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