経験値低めの彼
当時はまだ「彼」だった現在の夫。そんな彼との初めてのデートで、静かで落ち着いたレストランを探し出したのは私でした。このときは待ち合わせ場所の駅周辺に私のほうが詳しかったため、自分がお店を決めたことについて特に気にしていませんでした。しかし、彼とデートを重ね、一緒に食事をしていくうちに、彼の「外食の経験値が驚くほど低い」ことに気がついたのです。
あるデートで、彼はパスタを頼みました。しかし、用意されたフォークで一生懸命に食べようとするものの、うまく麺を巻けずなかなか食べられない彼。恋は盲目と言いますが、彼がパスタをフォークで巻いて食べることに慣れていない様子を見て、私は「慣れていないんだな。かわいいな」と思ってしまいました。
素直な彼の様子に…
これまで私は、自分をリードしてくれるようなちょっと大人な男性がタイプだったのですが、デートどころか外食にも不慣れな彼は、私の好みと正反対。しかし、そんな彼に対して嫌な気持ちを抱くことはまったくなく、むしろ好感を抱いていました。
それは、お店の料理に対して「これすごくおいしい!」と素直に感動したり驚いたりする様子がとても素敵だったから。そんな彼と一緒に食事をするうちに、私は彼の人柄に惹かれていきました。
彼とお付き合いするようになってから、私はデートの度にオシャレなカフェやレストランに彼を連れていくように。最初は外食に慣れていなかった彼ですが、次第に外で食事を楽しむことにハマっていったのです。
誕生日ディナーで
その後、お付き合いを経て彼からプロポーズをされました。後は入籍を待つばかり……というとき、私は誕生日を迎えました。
私の誕生日に彼が予約してくれたのは、おしゃれなイタリアンレストランの個室でした。コースの料理がとてもおいしく、なんとサプライズで誕生日プレートまで準備してくれていたのです。私は、彼と付き合ったばかりのころを思い返して「成長したなあ」と思ったのと同時に、このレストランも私のために一生懸命探してくれたんだろうなと、とてもうれしくなりました。
けれど、コースで出てきたパスタをフォークに巻いて食べるのはまだ少しヘタで……。そんな夫の姿を私は微笑ましく見ていました。
外食の経験があまりなく、慣れていなかった当時の夫。今では夫婦の特別な日になると、スマートにレストランの予約をしてくれるようになりました。夫が成長してくれたこともうれしいですが、素直に「おいしい」と言って楽しく食事をしている夫を見ることが一番の幸せです。
著者/畑野ナツミ
イラスト/sawawa
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