口癖は「お金ない」
彼は同い年で大手銀行に勤めていて、合コンでの印象は可もなく不可もなくという感じでした。その後、毎日のように連絡を取り合う仲に。2回目の食事で告白されて、とりあえず付き合ってみようと思い、お付き合いが始まりました。
なぜか付き合った当初から、お金がないアピールをされていた私。しかし、数カ月たったころに気づいたのですが、彼はブランドの服や美容といった自分への投資にかなりお金をつぎ込んでいる様子でした。とはいえ、当時の私は本人の自由だと思い、それに関しては特に気にしていませんでした。
割り勘から、私がお金を払うまでに変化
そんな中、2人で温泉旅行に行くことになったのですが、旅行の3日前になって彼から急に「今、お金ないんだよね」 と言われたのです。さすがの私も「それなら延期しよう」 と提案したのですが、彼は「旅行には絶対行きたい。あとで返すから」 と言い出し、「あとで返すから」の一点張りに。
ここで私も強く出ればよかったのですが、そんなに高級な旅館に泊まるわけでもなかったことと、波風立てたくなかったので、私がすべて払うことで了承しました。
しかし、これをきっかけに彼は「お願いすれば私がお金を出してくれる」と味を占めてしまったようで、その後1カ月間ほどは、一緒に食事に出かけても、なぜか私が奢る流れに……。私は「さすがにこのままではよくない」と感じ始めていました。
とうとうお金を貸すまでにエスカレート
そして、温泉旅行のお金も返ってこないまま、ある日とうとう事件がおきました。彼から「お金が足りないから、4万円貸してほしい」 という連絡がきたのです。普通ならここで別れると思うのですが、当時の私はなんだかんだで彼が好きだったので、お金を貸してしまいました。
でも同時に、私は彼女ではなく、ただの都合のいい女として扱われているとここでようやく気づいたのです。そして、私は彼と別れることを決意。一番結婚願望があるころだったので、別れると決断してからは私の彼への気持ちも一気に冷めました。
"お金の切れ目は縁の切れ目"と言いますが、今思うと、どうしてもっと早く別れられなかったのかと後悔すればきりがないです。お金はもちろん一切戻ってきていません。たまに思い出しては当時の自分に腹が立ってしまいますが、この先の人生の教訓になったと言い聞かせています。風のうわさで耳にしたのですが、彼はその2年後、結婚して子どもも産まれて、家族で幸せに暮らしているようです。
著者/伊藤みり
イラスト/マメ美
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