こんにちは。小児科医の保田典子です。今回は「寝かしつけ」について。0歳からだいたい3歳ぐらいまでは、夜泣きをしたり寝かしつけに悩まされることが多いです(もっと年齢が上でもそれぞれ睡眠の悩みはありますよね)。少しでもスムーズに眠れるようにポイントをまとめたいと思います。
そもそも「子どもの理想の睡眠」とは?
日本は睡眠不足大国とも言われるほど睡眠が少なく、それは子どもも同じです。子どもの睡眠時間の目安は、乳児期(生後6カ月から1歳)で13~14時間、1歳から3歳で11~12時間、幼児期で10~11時間です。
睡眠時間が短くなり体内時計が狂ったりすると、脳や体の発達に影響を与えると言われています。乳児期は睡眠と覚醒の境目が大人ほどはっきりしていないので、あまり気にする必要はありませんが、だいたい生後3カ月ごろから、夜通し寝られる子は眠れるようになります。生後半年を過ぎたら、少しずつ夜まとめて眠ってくれるといいですよね。そこで寝かしつけのコツを4つお伝えします。
寝かしつけNG1:眠いのに無理やり起こしておく、夕方寝かせない
「16時以降に昼寝すると夜寝なくなる」と言われています。それはある程度事実なのですが、赤ちゃんは疲れすぎてもうまく寝られなかったり、夜泣きをしたりします。夕方に寝てしまって夜寝なくなることを恐れて、無理やり起こしたりすることがありますが、かえって逆効果になったりすることがあります。
夕方に疲れて眠たそうにしていたら、15~30分程度の短時間だけ寝かせてみてください。短時間であれば夜の寝つきにあまり影響しない子もいます。これは赤ちゃんによるので、「やっぱり寝かさない方がよく寝る!」というのであれば戻してみましょう。昼寝が長くなって無理やり起こすのも同じです。
無理に起こして疲れて夜泣きしてしまうということもあるので、「お昼寝が16時を過ぎたら起こさなきゃ!」と思わなくていいです。もちろん、16時過ぎのお昼寝で夜寝つきが悪くなるようなら、早めに起こすのも手ですよ。
寝かしつけNG2:ずっと抱っこで寝かしつけ、寝入って布団で寝かせる
赤ちゃんがぐっすり寝入るまで抱っこする習慣をつけてしまうと、抱っこで寝るのが習慣になってしまいます。スムーズな寝かしつけのためには「寝るときのルティーンを作る」のがコツです。ウトウトし始めたらベッドに置く、もしくは添い寝に切り替える練習を重ねることで、抱っこではなくても入眠しやすくなります。
寝かしつけNG3:部屋の明るさ調整せず、明かりのある部屋で寝かせる
良質な睡眠には光のコントロールが非常に大切です。赤ちゃんが寝てすぐに部屋を明るくするのは、睡眠妨害につながる行為です。
人は光によって昼・夜を判断し、寝るためのホルモンが出されたりします。寝るときに明かりがついていると、うまく寝られないこともあるので、できれば真っ暗にした方がよいでしょう。寝つきの悪い子などは本当に窓に目張りをして部屋を真っ暗にするというのも寝かしつけのコツです。
寝かしつけNG4:テレビやスマホ、タブレットを寝る直前まで見せる
テレビやスマホを寝る直前まで見ていると、大人と同じように赤ちゃんも眠りにくいものです。就寝時間が近づいたら、テレビなどの電源をオフにして入眠しやすい環境を整えましょう。調光機能がある照明なら、寝る2時間前から徐々に明度を下げていくのもよいです。
スマホやタブレットの光は、思いのほか赤ちゃんには刺激が強いんです。なるべく寝る1時間前からはディスプレイを見せないようにするのがベターです。
人間は、目から入る光の量で昼夜を区別しています。日中の太陽のようなまぶしい光が目に入ると、脳が昼と認識し、眠りをつかさどるホルモン・メラトニンの分泌が抑えられます。スマホが放つ青い光は、日中の太陽の光と同様、眠りに強い影響を与えます。
寝かしつけのコツまとめ
寝かしつけに大事なのは、①寝るルティーンを作る、②抱っこしたまま寝ないようにする、③光のコントロールをする、です。
メンタルリープといって、発達が進む時期はそれでも夜泣きをしたりすることもありますが、基本的には上記3つを意識して生活していただくとよいでしょう。困ったら小児科で相談もできますので、夜泣きや寝かしつけに困っている方は、受診を検討してみてくださいね。