気持ちで負けていた出産
長女の分娩所要時間は22時間でした。2人目のお産は分娩時間が1人目より短くなると聞いていましたし、長女のときにはあっという間に時間が過ぎたから大丈夫と余裕ぶっていた私。結果、確かに分娩所要時間は8時間で、あとから考えると1人目と比べると時間は短くなっていたのですが……2人目の出産は気持ちで負けていました。
理由としては、まだいきむまでに至っていない、まだ生まれてこない、この痛みとまだまだ闘わなければならない、という状況による精神的な苦しみが大きかったからです。何度も、「無理! 痛い!」「まだ生まれないのはなんで!?」と弱音を吐いていた私……。そんな私に、助産師さんが声をかけてくれたのです。
助産師さんが教えてくれたこと
「お母さんが苦しいのもわかるけどね、赤ちゃんも同じくらい、いやもっと苦しいんだよ。お母さんも頑張ってあげないと!」と、助産師さんは少し厳しめの口調で声をかけてくれて、ハッとしました。
私は自分のことしか考えていなかったんだなと痛感しましたし、何より赤ちゃんの気持ちを考えることができていなかった自分に腹が立ったのです。
自分の気持ちに変化が!?
私は助産師さんの言葉を聞いて「赤ちゃんも頑張っているなら私も頑張らなきゃ。この痛みを乗り越えたら、私のかわいい赤ちゃんに会える。この痛みだって、長い人生のほんの一瞬。もう弱音は吐かない!」という気持ちになりました。
本当に私はこのあと弱音を吐かなかったので、助産師さんも「頑張ってるね。赤ちゃんに会えるの、楽しみだね。絶対かわいい子だからね」とやさしい言葉をかけながら応援してくれ、私はおなかの中の次女とともに頑張り、無事に出産を終えることができました。
赤ちゃんは狭い産道を通ってくるのだから、生まれるまでに苦しい思いをしていることは想像したらわかることなのかもしれませんが、私にそのようなことを考える余裕はありませんでした。助産師さんが余裕のない私を見て、私を冷静にしてくれたのです。厳しい口調だったかもしれませんが、それは私のためであり、感謝の気持ちでいっぱいです。このあと3人目、4人目と出産していますが、いつもこの助産師さんの言葉を思い出し、自分に活を入れて、無事に出産できました。
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監修/助産師 松田玲子
著者:池谷 えりな
3歳の息子と、年長・年少・1歳の娘たちの4児のママ。教員免許保持。子ども4人と夫、ペットのわんちゃん1匹と暮らしており、趣味は子どもたちといろいろな公園へ遊びに行くこと。