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実は「三歳児神話」は根拠なしって本当!?子どものために、もっと大事なこととは?

子どもを保育園に預けるこの時期、ママたちが耳にする機会の増える「三歳児神話」。実は根拠がないって本当!? 3児のママ小児科医で、高円寺こどもクリニック院長の保田典子先生に、「三歳児神話」について教えてもらいました。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師保田典子 先生
小児科 | 高円寺こどもクリニック院長

2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
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こんにちは。小児科医の保田典子です。今回は4月に保育園へ入学する親御さんを悩ませる「三歳児神話」について解説したいと思います。

 

実は「三歳児神話」に根拠はありません!

「子どもが三歳になるまでは母親によって育てられるべき」という考え方から生まれた「三歳児神話」。これはイギリス出身の精神科医ボウルビィの報告書がきっかけになっています。三歳児神話が生まれた背景を遡ってみると、実は、もともとの考え方とちょっと違う解釈が広まってできた言葉のようです。

 

第二次世界大戦後、戦争孤児や家族から離れた経験のある子どもの多くに、精神発達に遅れが見られるという報告がありました。しかし、保護者のいない子どもが暮らす施設の環境や療育状況の改善とともにそれらが減少したため、「三歳以前の母性的養育の欠如が、発達障害の要因である」と分析され「子どもが健やかに成長するためには、三歳までに少なくとも一人の養育者との愛着関係が必要」と唱えられました。

 

これが「愛着理論」として広まったそうです。日本では、この母性的養育という言葉が、母親による養育として広まってしまったようです。

 

また、厚生白書(平成10年版)でも「三歳児神話には,少なくとも合理的な根拠は認められない」とされています。

 

三歳児神話というのは本当だろうか。三歳児神話とは「子どもは三歳までは,常時家庭において母親の手で育てないと,子どものその後の成長に悪影響を及ぼす」というものである。


三歳児神話は,欧米における母子研究などの影響を受け,いわゆる「母性」役割が強調される中で,育児書などでも強調され,1960年代に広まったといわれる。そして,「母親は子育てに専念するもの,すべきもの,少なくとも,せめて三歳ぐらいまでは母親は自らの手で子どもを育てることに専念すべきである」ことが強調され続けた。その影響は絶大で,1992(平成4)年に行われた調査結果においても,9割近い既婚女性が「少なくとも子供が小さいうちは,母親は仕事をもたず家にいるのが望ましい」という考えに賛成している。


しかし,これまで述べてきたように,母親が育児に専念することは歴史的に見て普遍的なものでもないし,たいていの育児は父親(男性)によっても遂行可能である。また,母親と子どもの過度の密着はむしろ弊害を生んでいる,との指摘も強い。欧米の研究でも,母子関係のみの強調は見直され,父親やその他の育児者などの役割にも目が向けられている。三歳児神話には,少なくとも合理的な根拠は認められない。

 

引用/厚生白書(平成10年版)

 

 

家庭で母親と過ごした子と、共働き家庭の子に違いはある?

アメリカでは1990年代に1357家族を対象として、大規模で長期的な研究が行われました。その研究結果では、母子間の愛着の質は、保育時間や保育開始時期、保育所の質によって影響を受けることはない、ということでした。

 

愛着の質に影響を及ぼすのは、一緒にいる時間の長さではなく、母子間の関わり方そのものだったのです。子どもの発達は、母親が働くか育児に専念するかという形だけでは、議論できないのです。

 

保育園に通わせた方が、言語発達が良い傾向があるとも言われています。人より早く言語発達する必要はありませんが、言語発達があると、かんしゃくなども減りやすいので、保育園のメリットもあるのではないでしょうか。

 

子どもの愛着形成、発達に大切なのは、母子ずっと一緒にいることではなく、母子の信頼関係を強固なものに構築することだと言えます。

保育園でも、家庭保育でも子どもとの時間を幸せなものに

子どもの健やかな発達のためには、人の目を見て、表情を感じてコミュニケーションを取っていくことがとても大切です。そして「親(母)が自分にとっての安全基地で、一番応援してくれる人」であることが、子どもが生き生きと過ごせる一番大切なことでしょう。

 

そのためにも親の心身が健康であることが大切です。働いていても、働いていなくても、ママたちはご自身を大切にして、自分を大切にした分で子どもに笑顔を向けてあげてください。

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