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「もうダメだ」強気だった夫のメンタルが崩れ不安障害に…妻の私ができることは【体験談】

強気でわがまま、ケチと3拍子そろった夫のメンタルが、新しい職場と責任ある地位のために崩れてしまいました。夫は1カ月の休職を経て、元の職場に復帰。妻の私ができたことは、一緒にいることのみでした。夫の様子とそれをそばで見ていた私の気持ちをお伝えします。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師駒形依子 先生
産婦人科 | こまがた医院院長

東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力~女医が教える「人には聞けない不調」の治し方(KADOKAWA)』。
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強気だった夫が不安障害に

「もうダメだ」強気だった夫のメンタルが崩れ不安障害に…妻の私ができることは【体験談】

 

 

「もうダメだ」強気だった夫のメンタルが崩れ不安障害に…妻の私ができることは【体験談】

 

「もうダメだ」という夫のひと

夫はいつでも強気の人でした。子どもに対しても常に厳しく怒ってばかり。妻の私に対しても暴言を吐くことがしばしばで、のんびり屋でいいかげんな私はよく「ボケ」とか「何やってんだ」「お前のせいだ」と言われました。

 

そんな夫が弱音を吐いたのは、転勤して専務に昇進し1カ月たったころ。連日帰りが遅く、夜の22時を過ぎました。最初は通勤距離が1時間ほど長くなったためかと思っていましたが、そうではなかったのです。転勤後、メンタルが崩れていたと思われます。

 

ある日、私は彼らしくないつぶやきを聞きました。「もうダメだ」と。以来、夫は顔色が悪く生気のない顔つきになり、休日になると電気もつけずにリビングのソファや寝室のベッドにぼーっと座っていることもありました。会社には無理やり行っているような感じだったと思います。

 

どうも新しい職場での仕事がうまくいかず、落ち込んでしまったようです。部下を管理する重圧に耐えられないこと、前任者よりも自分が劣っていると思ったことが大きな原因と考えられます。私は彼が途切れ途切れに話す言葉を聞く以外、何もできませんでした。

 

1カ月の自宅待機で2人きりの時間

上司のすすめでメンタルクリニックに行った夫は、「不安障害」と診断され、1カ月間の自宅待機による休職になりました。強気で暴言を吐いたかつての夫とは別人のような雰囲気。私は怒られないことで安心する半面、あまりにも変わってしまった彼にどんなふうに接していいのか迷いました。

 

そこで「私、どうしたらいい?」と夫に聞いたところ、彼は「何もしなくていいから、そばにいてほしい」と言いました。なので本当にそのようにしたのです。

 

子どもたちは手が離れて別の場所にいたので四六時中夫と2人のみの1カ月。大好きだった旅行にも行く気にならないという夫は、「こんなになってしまって悪いね」と何度も言いながら一緒に買い物に行ったり、食事の支度をしたりと家事を手伝ってくれました。「そんなことないよ」と言い、私は夫のそばにいるだけの生活です。不安でしたが、夫を支えたいという思いがあったので、嫌ではありませんでした。

 

ただ、ちょっと困るのはまるで小さい子のようになったことです。例えば買い物に行って私の姿が見えなくなると、真っ青になって探します。「お願いだから離れないで」と何度も言われました。こんな弱気な夫を見てつらい気持ちになった私です。

 

しかし、そこは私の持ち前の前向きさが功を奏しました。深く考えても仕方ないと思い、不安なことをなるべく考えないようにしたのです。嫌だなと思ったことはすぐに忘れるように努め、家事や仕事に没頭。そうするとあまり暗い気持ちになりませんでした。

 

ちょっとおもしろかったのは、なぜか夫はケチな性格だけは変わりませんでした。夫が好きな安いファミレスでのランチが、2人にとって心休まるひとときだったことを覚えています。「ここは安くてうまくてうれしい」と言って夫はほほ笑みました。そんな時間を本当に幸せと感じたものです。

 

 

穏やかな顔つきになり前の職場に復帰!

自宅待機から1カ月たって、夫の顔つきは穏やかになり、悲壮感も消えてきたのが見てわかるほどになりました。そう感じたときに医師からは職場復帰のゴーサインが出たのです。1カ月ゆっくりできたので、だいぶ良くなったけれども無理はしないようにと言われたそうです。それにより勤務時間は短くなり10日に1回は通院することになりましたが、夫は転勤前の職場に復帰できました。

 

この1カ月は、職場の人たちや友人たちがずいぶん心配してくれ、電話やラインが度々あったそうです。上司も心配してクリニックを訪れてくれたことがあります。回復できたのは、そんな皆さまのおかげもあったのでしょう。わざわざ夫に会いに遠くから尋ねてきてくれた職場の友人もいました。夫はそんな人たちに感謝の言葉を述べ、時には涙さえ浮かべていたのです。

 

前の職場に戻って夫はすっかり元気になり、半年後には、また新しい職場に転勤になりました。再びの管理職、環境の変化ということでメンタルが心配でした。しかし、その職場は前から行きたかった場所らしく、逆にとてもうれしそうだったのです。何だかルンルンしている様子だったので、私は何も言わずに見守ることにしました。

 

あれから2年。今は職場の環境が良いのか、毎日楽しそうに通っています。本当にあの出来事は、ただの悪夢だったのではないかと思うほどです。

 

しかしまだ何があるかわからないので、メンタルクリニックには月1で通っています。夫の性格はメンタルを患ったことからか、若いころよりガラッと変わり、やさしく穏やかになりました。ただケチさだけは、相変わらず昔のままで、自宅待機のときに通った安いレストランには、今も夫婦で通っています。「安いのが一番!」とあのときのようにうれしそうにほほ笑む夫を見て、安堵する私です。

 

まとめ

あんなに強気だった夫が自信を失ったことで、メンタルが崩れ人格が変わってしまいました。人生何があるかわからないとは、まさにこのことだと思います。崩れていく夫と過ごしながら、私は夫の繊細な心を知ったような気がしました。そして職場の人たちとの良い関係もわかり、人への感謝の気持ちも感じました。

 

今後もどんな危機が家族に訪れるかわかりませんが、この悪夢を乗り切ったことを思うと何があっても怖くないような気持ちにもなります。人との輪を大切にしながら、あらゆる面において無理せずに生きていきたいと、夫との経験を通じて深く感じました。

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

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著者:どれみ

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