ストレスの日々と白髪
私は3年おきに3人出産したこともあり、仕事に復帰したときには40歳を超えていました。
子どもを小学校に送り出し、保育園に預けてから仕事に行くという毎日は、過酷なものでした。子どもの送迎だけで息は切れるし、仕事も以前のようにこなすのが難しくなっていました。仕事が終わっても休む暇などなく、家に帰ってからも重い体を引きずって家事や育児をこなす日々。
こんなに過酷な日々にもかかわらず、体重は減らないのです。40代の体の現実におびえています。
仕事復帰という環境の変化でストレスの多い日々が続き、1カ月がたったころだったでしょうか。私は朝、鏡を見ていて白髪を1本発見しました。
「あらあら」と思い、毛抜きで抜きました。今までそうしてきたし、それでよかったのです。でも、この日は違いました。すぐ近くにまた1本の白髪を発見してしまったのです。
私は髪の束を恐る恐るめくってみました。するとどうでしょう。白髪がまとまって10本以上、出てきたではありませんか!
白髪がこんなにも増えていたのに気付かなかったことにショックを受けつつ、仕事前で時間もなかったので、目につくものだけ急いで抜きました。もともと髪は多いほうなので、抜くことにそこまで抵抗がなかった私も、このときはさすがに不安になりました。
髪にツヤがなくなり抜け毛が増えた
思えば、髪質も少しずつ変化していました。
美容院に行ってもすぐにきしんできて、ツヤもなく、抜け毛が増えています。髪質はこのように変化していたのに、若いときよりも手入れをしなくなっていました。
子どものことばかりで自分のことがおろそかになっていたのだと痛感しました。今までは多少のストレスがあったとしても、それが体に出るなんてことはありませんでした。
自分の年齢を目の前に突きつけられた感じがして、さらに落ち込みます。今まで白髪の悩みがなかった分、対処の仕方も知りません。スマホで調べてみると抜かずに切るほうがいいと書いてありますが、私の髪はコシがあるので、切るとピンと立って、伸びたときに目立ってしまうのです。
仕方なく抜くのですが、数が数だけに今度は分け目の周りの髪が減ってしまうのではと不安になります。
これ以上増えたら、染めるしかないのかな。そうなると手間だな。ただでさえストレスの多い日々に白髪の悩みまで加わり、もう情けなくて仕方がありませんでした。
娘は白髪を楽しんでいて
なかなか美容院の予約も取れず、白髪を持て余したまま、日が過ぎていきました。私はいつものように鏡と向き合って、毛抜きを手に白髪と格闘していました。
目も悪くなったのか、目当ての白髪を毛抜きでうまくつかむことができません。
そんな私の様子を見た長女が「ママ、何してるの?」と話しかけてきました。ちょうど困っていたところだったので、「白髪抜いてるの。手伝ってくれる?」とお願いしてみました。
私がソファーに座り、長女が白髪を抜いていると、次女も「何してるの?」と寄ってきました。そこから娘2人は、われ先に白髪を見つけようと私の髪をごそごそ触り始めました。
「あった!」「わ! これは長い! 最高記録だ!」まるで宝探しのようです。その時間は何だか楽しくて、白髪も悪くないかなと思えたのでした。
まとめ
きっとこれからも白髪は増え続け、抜くだけでは間に合わなくなるでしょう。それはうれしいことではないけれど、悩んでも仕方がないことなのかなと思いました。いつまで抜くのか、いつから染めるのか、対処法はまだわかりません。今は子どもたちと白髪抜き遊びを楽しみながら、長い付き合いになる白髪とどう付き合っていくか、考えていきたいと思います。
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著者:桃野ゆか
9歳、6歳、3歳の三姉妹の母。小学校教員として19年勤め、その間に育休や仕事復帰を経験。現在は子育てや仕事の経験を元に、執筆活動中。