更年期に弱る「骨盤底筋群」とは?
子宮や膀胱、尿道などを下から支える筋肉
まず、「骨盤底筋群」について教えてください。
「骨盤底筋群とは、骨盤の底辺にあるインナーマッスルです。
骨盤底筋群は、肛門挙筋や尿道括約筋などのいくつかの筋肉が合わさって、ハンモック状に子宮や膀胱、直腸を下から支えています。 また、排泄をつかさどる場所でもあり、尿道や肛門などの排泄口を開閉する働きもしています。
妊娠や出産を経ることで大きなダメージが加わります。加齢により筋力が低下する上、女性ホルモン分泌の減少で弾力性が低下するため、年を重ねるほどに骨盤底筋群は弱くなっていきます。また、肥満も骨盤底筋群にダメージを与える原因となります」(駒形先生)。
骨盤底筋群が弱るとどんな影響が出るのでしょうか。
「骨盤底筋群の弾力や厚みが失われると、内臓が下がってきます。そのため尿道、腟、肛門の開け閉めがうまくいかず頻尿や尿漏れ、便失禁が起きやすくなります。悪化すると骨盤内の臓器の下垂や脱出が見られる骨盤臓器脱を起こすこともあります」(駒形先生)。
「骨盤底筋群」を鍛えるには?
体内で平行する「横隔膜」に注目
放っておけばどんどん弱くなる「骨盤底筋群」。どのように鍛えるのでしょうか。
「『骨盤底筋群体操』という体操があります。ただ、骨盤底筋群はインナーマッスルであるため、鍛えても効果を実感しにくいのです。続けておこなわないと効果がないのですが、途中で挫折してしまう人がとても多いのが現状です。
とはいえ、骨盤底筋群は鍛えないとどんどん衰えていきます。少しでも鍛える方法はないか……と呼吸法に着目してみました」(駒形先生)。
呼吸と骨盤、どのような関係があるのでしょうか。
「骨盤底筋群は『骨盤の横隔膜』ともいえます。横隔膜と骨盤底筋群は上下で平行して向かい合って連動しており、横隔膜と骨盤底筋群が正しい位置にあれば、同じ動きをするようになっています。
息を吸って横隔膜が下がっている時は骨盤底筋群も下がりますし、息を吐いて横隔膜が上がっているときは骨盤底筋群も上がります」(駒形先生)。
「胸式呼吸」とは?
吐くことに意識を集中して胸を上下させて
呼吸をすれば骨盤底筋群は動いているんですね。では、生きている限り骨盤底筋群は動くので、何も特別なことはしなくて良いということですか?
「息と呼吸は違います。
大切なのは横隔膜を動かしているかどうか。息は横隔膜を動かさなくてもできます。胸をしっかり上下させて呼吸をすることで骨盤底筋群を動かすことができます。
ポイントは以下の通りです。
・ 息を吐くことに重点を置きましょう。深呼吸であれば10秒かけて吸って、30~40秒かけてゆっくり吐くのが理想的です。
・ 吸うときは、胸とおなか、両方を膨らませてもOK。体幹や四肢の筋肉に力が入り体に無駄な力がかからなくなります。
・ 猫背や反り腰にならないよう、「正しい姿勢・体幹」を意識。横隔膜と骨盤底筋群が平行になる姿勢を意識します。
横隔膜を動かすことで自律神経を刺激し、バランスを整える効果もあります。横隔膜には自律神経が密集しており、心臓や腸とは違い、自分でコントロールできる臓器です。
まずは1日に数回、全力で呼吸する時間を取ってみましょう。最初は1日1回でも良いと思います」(駒形先生)。
まとめ
胸式呼吸をするタイミングは、まずは1日1回。慣れたら朝起きて、夜寝る前、さらに慣れたら数を増やす、と良いそうです。しかし、1回もしないよりは1回でもしたほうが良いので、回数にこだわらなくて大丈夫、ということでした。お金も道具も要らない健康法である「胸式呼吸」。気軽に始めてみてはいかがでしょうか。
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取材・文/mido
ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。