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便秘や下痢は40代・50代女性の腟にも影響が! 腸活で整える「腟内フローラ」【医師監修】

最近目にすることが増えた「腸内フローラ」。腸内細菌のことで、腸内のさまざまな細菌を整える「腸活」が、体の調子を整えることはよく知られています。一方、婦人科や産婦人科で「腟内フローラ」という言葉を聞いたことはありませんか。腟にも細菌がいて、それと整えると健康効果があるとか……。気になることを産婦人科の駒形依子先生に聞きました。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師駒形依子 先生
産婦人科 | こまがた医院院長

東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力~女医が教える「人には聞けない不調」の治し方(KADOKAWA)』。
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「腟内フローラ」とは?

腟内にある多種多様な細菌のこと

「腸内フローラ」は腸内に密集している多種多様な細菌のことであり、細菌には体に有益な善玉菌と害を与える悪玉菌がいて、これらの菌のバランスを保つことが健康の秘訣とされていることは知っている方も多いでしょう。では、「腟内フローラ」とは何なのでしょうか。

 

「腟内フローラとは、腸内フローラと同じで、腟内にある多種多様な細菌のことを指します。

 

腟で主に働くのはラクトバチルス属といわれる善玉菌の乳酸菌です。これらは乳酸を産生することで腟内を酸性にし、清潔な環境に保つ働きがあります。

 

腟内フローラの状態が良いと、性感染症や子宮頸がんなどの予防が期待できることがわかってきています。

 

ちなみに子宮内フローラというのもあって、外部から入ってくる雑菌や性病の菌が炎症を起こさないようにバランスを保っています。しかし、そこのバランスが崩れれば炎症を起こし、子宮体がんに進行する場合もあります。

 

腟内も子宮内も、その中の善玉菌と悪玉菌のバランスがとても大事なのです。なお、善玉菌が活発に働くためには悪玉菌の存在も必要。あくまでバランスが大切です」(駒形先生)。

 

更年期になると「腟内フローラ」はどうなる?

過活動膀胱

 

組織が乾燥し、細菌バランスが乱れやすくなる

更年期は体全体のバランスが崩れることが知られていますが、腟内フローラのバランスも崩れやすいのでしょうか。

 

「更年期に入って女性ホルモンの分泌が減ると、細胞に潤いを与えるグリコーゲンという成分が作られなくなります。

 

細胞に潤いがなく、乾燥するとラクトバチルス乳酸菌が定着せず減少します。善玉菌が減って腟内フローラのバランスが乱れるのです。

 

腟内フローラのバランスが乱れると酸性度が低下して自浄作用が落ちるのですが、更年期女性の場合は、女性ホルモンが減ることでも自浄作用が落ちています。

 

つまり、更年期女性の腟は雑菌が侵入しやすく、悪玉菌も増えやすい状態といえます」(駒形先生)。

 

更年期になると腟内フローラのバランスが悪くなるのですね。

 

「女性ホルモンが減ると潤いがなくなり、腟内のひだもなくなってきます。若いときはひだがあることで必要なものが外に出ないようになっていたのですが、簡単にお風呂のとき腟に水が入って、菌が洗い流されてしまいます。また、雑菌などが入りやすくなって炎症が起きて、いろいろ症状が出ます。

 

その結果、起こりやすいのが過活動膀胱萎縮性腟炎です。

 

過活動膀胱は、まず尿道から菌が入って軽い膀胱炎になって頻尿になり、悪化することで起こります。

 

萎縮性腟炎は自浄作用が落ちることで腟内で細菌感染が起こり、ひりひりする痛み、焼けるような感じ、かゆみ、黄色いおりもの、出血、乾燥感、性交痛などの症状が出ます」(駒形先生)。

 

 

「腟内フローラ」どうやって整える?

乳酸菌

 

便秘や下痢があるなら食事を見直して

更年期女性の腟内フローラは悪化の一途のよう。腸内フローラは食事や生活を見直すことで改善することが知られていますが、腟は……?

 

「腟と腸の菌は連動しているので、腸内フローラが改善されれば、腟内フローラも改善されます。

 

人間が持つ菌(常在菌)は一人ひとり違っていて、その種類や数は生後6カ月までに決まるとされています。生まれてからまず最初に腸に菌が入り、その菌から腟をはじめ全身に分配されるのです。

 

腸と腟の菌は連動しているのです。ですから、腸内の細菌バランスを保てば、腟内フローラのバランスも改善されます」(駒形先生)。

 

腸活というとヨーグルトや納豆、キムチなどが良いとされていますが……?

 

「もちろん、それらの食品を食べるのは良いと思いますが、体に合わない場合もあります。ヨーグルトが良いからと下痢になっても食べ続けるのは良くありません。納豆やキムチはにおいや味が好きでない人もいますよね。ストレスは腸活によくありません。

 

いろいろなものを食べて、下痢や便秘にならないものを適量食べるのが良いと思います。また、よくかむことも大切です。よくかんで消化しやすい状態にして腸に送る意識を持つと良いでしょう」(駒形先生)。

 

まとめ

40代、50代の腟はかなり弱く、危険な状態であることがわかりました。駒形先生によれば、更年期世代では萎縮性腟炎と過活動膀胱になる女性がとても多いそう。改めて、腸活の大切さを思い知らされました。

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

 

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取材・文/mido

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