子どもへの月経の伝え方について描いた絵本『げっけいのはなし いのちのはなし』の著者でもあり、教育現場でも性教育の講演をされている「生」教育アドバイザーの大石真那さんにお話を伺いました。
大石さんには「子どもへの性教育」と「生理の伝え方」について教えていただきました。今回は「子どもに性教育をする際のポイント」についてご紹介します。
どこからが性教育?
子どもへの性教育と聞くと、ハードルが高く感じる方もいるかもしれませんが、まず大石さんが教えてくれたのは「どこからを性教育と捉えるか」ということ。
性教育と聞いて、月経や射精を含めた第二次性徴からセックスや性感染症など、生殖にかかわることを想像する方も多いかもしれません。
しかし、国連教育科学文化機関(UNESCO)や世界保健機関(WHO)などが協同で発表した『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』では、体や生殖の仕組みに関することだけではなく、人間関係やジェンダー、人権など、幅広いテーマを性教育と捉えていて「包括的性教育」と呼んでいます。
つまり「包括的性教育」では、人の体や生殖の仕組みに関することだけではなく、人権教育やお互いの体を守る防犯的な学びも「性教育」としているのです。
何歳から性教育を始めるべき?
大石さんによると、性教育は「自分の体は大切なんだよ」とお子さんに伝えるところから始めることができるのだそう。
例えば、赤ちゃんに対しても、ひと言声をかけて体に触れる、赤ちゃんの「嫌だ」という気持ちを受け入れてあげることも、性教育の第一歩なのだとか。
これは、スキンシップを通して、子どもが赤ちゃんの時期から伝えることができるため、性教育を始める時期としてはいつからでもよい、早すぎることはないそうです。
どのタイミングで伝えるべき?
性教育では「自分の体の大切さ」を伝えることから始めてよいと教えていただきましたが、実際に「赤ちゃんはどうやってできるの?」「赤ちゃんはどこからくるの?」と聞かれて、答え方に困ってしまったという方もいるかもしれません。
「赤ちゃんはどうやってできるのか」という話を「どのタイミングで、どうやって教えるべきか」と悩んでいる方は多いかもしれませんね。
大石さんによると、子どもが興味を持って質問してくれたときに話すのがよいとのこと。
「空はなんで青いの?」「ゾウの鼻はなんで長いの?」など、何気ない質問と同じように、子どもが興味を持ったタイミングで伝えてあげることで、すんなりと理解してくれるそうです。
小学校2〜3年生くらいになると、性を「恥ずかしいもの」として捉えてしまい、質問しにくいと感じてしまうという子も……。
そのため、なんでも興味を持って質問してくれる3〜5歳の時期に知ってもらうことがベストですが、その時期を逃してしまっても、性教育の絵本を見せてみるなど、親がきっかけをつくり「興味を示したら話してみる」という選択肢もあるそうですよ。
性の伝え方は「科学的に、淡々と」
そして大石さん曰く、実際に子どもに伝えるときのポイントは、科学的に淡々と伝えるということ。
例えば「赤ちゃんってどうやってできるの?」という質問に、恥ずかしがったりオロオロしたりするのはNG。また「コウノトリさんが運んできてくれたんだよ」という言葉を耳にすることもありますが、そのようにごまかしてしまうとよくないのだとか。
「赤ちゃんは精子と卵子が出会うことでできるんだけど、卵子まで届けるために、男の人のペニスを使って女の人の体に運ぶんだよ」などと、生物の仕組みとして教えてあげることが重要だと言います。
すぐに答えられない場合でも、「どうして知りたいと思ったの?」「あとで一緒に調べてみようか」というように、ひとまずお子さんの質問を受け止め、性の話がタブーではない環境をつくることが大切なのだそう。
しかし、言葉だけで説明するのが難しいという場合もありますよね。そんなときは、イラストのある性教育の絵本を使って説明するのも一つの手です。
視覚的情報に加えて、言葉で補ってあげることで、子どもも理解しやすく、性教育をする親のハードルも低くなるそうですよ。
性教育は、自分や周囲を守るための大切な知識。だからこそ、子どもが小さいときからしっかりと教えてあげたいですね。性教育にハードルを感じる方も多いかもしれませんが、子どもとのスキンシップからでも大丈夫なので、まずは、できることから始めてみるのもいいかもしれません。
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