つらかった中学生時代
パニ子の母であるパニ母は事故が原因で脚が不自由になってしまい、車椅子での生活を余儀なくされていました。パニ子が幼いころは外に出ることもひと苦労だったため、パニ母は子どものために本を読み聞かせてくれていたのだそう。
パニ子が中学生のころ、同じクラスにイオリという女の子がいました。パニ子はイオリと顔を合わせることがとても嫌だったのだとか。
その理由は、授業参観日でパニ母が学校に来たこと。イオリはパニ子に向かって「あんたの母親、車椅子でめちゃくちゃ幅取ってうざかったんだけど!?」とありえない発言をしてきたのです!
イオリは性格に難があり、友だちはまったくと言っていいほどにいませんでした。反対にパニ子は友だちが多かったため、イオリにとっては憎い存在だったのかもしれません。
イオリからの嫌味はパニ子が転校するまで続き、パニ子はイオリのことが苦手になってしまったのでした。
還暦祝いで旅行へ
パニ夫とパニ母が還暦を迎えるということで、2人に旅行をプレゼントすることにしたパニ子。どこに行きたいか聞いてみたところ、パニ子が中学生のころに住んでいた街に行きたいと言われました。
パニ子は一瞬悩んだものの、イオリと遭遇する確率は限りなく低いだろうと思い、1泊2日で旅行に行くことにしました。
しかし、運悪く街に着いてすぐイオリと遭遇してしまったのです! パニ子たちが駅からタクシーで移動しようとタクシー待ちの列に並んだところ、目の前にいたのがイオリでした。
イオリの不注意でパニ母の車椅子に当たってしまったのですが、「ちょっと、何すんのよ! 足ぶつけちゃった、痛ぁ……」とまるでパニ母がぶつかったような言い草。
そしてパニ子の顔を見て大笑いし始めたではありませんか! パニ子は顔を伏せて人違いだと言ったものの、イオリは確信を持ったようで笑い続けるどころか「本当、車椅子って邪魔くさいわぁ~! 自分の足で立って歩け!」と暴言を吐き捨てながら、タクシーに乗って行ってしまいました。
両親が向かった先は…
イオリのせいで嫌な気分になったものの、お祝いの場だということでイオリのことは忘れて旅行を楽しむことに。思い出の場所を巡って、ホテルでゆっくりと過ごしました。
翌日、パニ母が車椅子生活になる前に両親がよく行っていた料亭の板長さんが、新しくオープンさせた料亭へ行くことに。
イオリの実家が高級料亭だったということもあり、パニ子は嫌な予感がしていました。不幸にもその予感は的中!
料亭に着いたパニ子たちを出迎えたのはイオリでした。そして「悪いんだけど、当店は敷居が高いので車椅子では入れません!」と言いました。駅前でのひと悶着もあり、パニ子だけでなくパニ母やパニ夫も、イオリに対して顔をしかめていました。
そのとき、店の中から板前の格好をした男性が焦った様子で、パニ子たちの元へ走って来ました。男性はイオリの態度を注意したものの、イオリが言うことを聞く様子はなし。
パニ子たちは別の店へ行こうと思い、タクシーを捕まえようとしていました。
イオリの暴走は止まらず
帰ろうとするパニ子たちに向かって「てめぇらみたいなのは、うちみたいな高級料亭に来ちゃいけないんだっつーの!」「自分たちに見合った、貧乏臭い定食屋にでも行け!」と暴言を吐きまくるイオリ。
そんな様子に耐えかねたのか、イオリを制止しようとしていた男性が「いい加減にしてください!車椅子のあの方、グループ会社のオーナーですよ!?」とひと言。
パニ母はパニコレグループという大企業のオーナーを務めており、子会社もたくさん抱えていました。この高級料亭もパニコレグループの1つだったのです。
イオリは顔を真っ青にさせてパニ子たちの後を追いましたが……時すでに遅し。タクシーに乗ったパニ子たちに追いつくことはできませんでした。
その後、パニ母の元に料亭の板長から電話が。この板長はイオリの父親で、直接謝罪がしたいと言いだしました。
再度料亭に戻ると……「大変申し訳ありませんでした!」と土下座をするイオリと板長の姿がありました。
敷居が高いの意味は
なぜこんなにも態度の悪いイオリが女将になっていたのか気になったパニ母。聞けば、イオリの母親が家を出てしまったため、人手が足りずにイオリを女将にするしかなかったのだとか。
そしてイオリが言っていた「敷居が高い」という言葉は、イオリの母親もたびたび口にしていたのだとか。イオリは中学生のころ「うちの店は敷居が高いから、車椅子のお客さんは利用しづらい」と言っていました。
しかし「敷居が高い」という言葉の意味は「高級や格が高く、その家や店に行きにくい」「不義理があってその家に行きにくい」というものです。
イオリが使っていた「敷居が高い」は、バリアフリーではないから車椅子だと利用しづらいという意味で誤用でした。パニ子がそのことを指摘するとイオリは「だ、黙れ!」と言いましたが、父親に頭を抑えられ反抗することはかないませんでした。
その後、イオリは店を追われ僻地の離島で働くことに……。毎日職場で怒鳴られてすっかり生気がなくなってしまったのだとか。
パニ子たちは板長に豪勢な料理を振る舞ってもらい、無事に還暦祝いの旅行を終えることができたそうです。
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今はバリアフリーなお店や場所も増え、車椅子の方でも生活しやすいように工夫されています。イオリのように差別するのではなく、どうすれば車椅子の方も一緒に過ごしてもらうことができるのか考えて協力する必要がありますよね。
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