新婚生活が順調だと思っていたのは夫だけ?
(※)「マタニティブルー」は一般的に妊娠中の気分の落ち込みや不安症を指すことがありますが、医学用語ではありません。正式名称である「マタニティブルーズ」は、出産後の女性の30〜50%が経験する一過性の抑うつ状態のこと。産後数日から2週間程度のうちにちょっとした精神症状が出現します。
私たち夫婦は結婚と同時期に、妊娠が判明。自分の子に会えるのが楽しみで仕方ありませんでした。妻は「ちゃんと育てられるかな?」と不安がっていたので「大丈夫だよ! 保育士だし、楽勝でしょ!」と元気づけました。無事出産を終え、自宅での育児がスタート。「もし困っても妻がいるから大丈夫!」と心のどこかで安心しており、育児に関して妻は、さすがの手際の良さ。それを見て自分も頑張ろうと思っていたのですが、妻は次第に人が変わったかのように冷たくなり、話す機会が減っていったのです。
「なんでそんなに冷たくするの?」と問いましたが、妻はため息をつくだけ。ずっとだんまりな妻に、つい腹が立って「そりゃ保育士だから、僕の行動に不満があるかもしれないけど、ほかのパパより頑張っていると思うよ」と少し強めの口調で言いました。すると、妻は目に涙を溜めてにらみ返してきたのです。「それがずっと嫌だった。保育士、保育士って……。言われるたびにプレッシャーだった。出産も育児もあなたと一緒で初めてなのに……」とポロポロと涙を流しながら話してくれました。僕は、「保育士=育児のプロ」と勝手に思って、なんでもこなせるものだと思いこんでいたのかもしれません。妻を信頼しての発言でしたが、まさか自分が妻を追い詰めていたなんて思いもしませんでした。
妻は保育士とはいえ、自分の子どもを生み、育てるのは初めて。そんな当たり前のことを、妻に言われるまで気づきませんでした。妻に「保育士だからって頼りにし過ぎていたかも。ごめんなさい」と謝罪。妻は「保育士って言われるたびに、本当につらかった……」と打ち明けてくれました。そしてお互いの気持ちを吐き出し、「初めてのことだらけで不安だけど、息子と3人で頑張っていこう」と2人で前を向くことに。
妻と話し合ってからは、妻になんでも聞くのではなくネットや育児本で調べるようにしています。相手を信頼するのはいいことですが、頼りすぎてしまうと相手にストレスをかけてしまうのだと気づきました。妻の気持ちにも寄り添いながら、これからも育児に向き合っていきたいです。
著者:高橋ジュン/30代男性・2歳の男の子のパパ。息子の成長を楽しみに生きている。趣味はゲームやアウトドアスポーツ。
イラスト:ヒロミンミン
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています