義母と迎えた初めての出産
出産に立ち会うことを楽しみにしていた夫でしたが、出産予定日に残念ながら出張となってしまいます。急きょ、隣県に住む義母がすぐに駆けつけてくれ、私は初めての出産を義母と迎えることになりました。
義母が来た夜に陣痛が始まり、明け方に病院へ。数分おきの陣痛に耐えていると、朝食が運ばれてきました。食事どころではない私に、義母は食べるようにすすめてきます。しかし、そんな余裕のない私を察した助産師さんは「食事が難しいようでしたら、お義母さんどうぞ」と言ってくれました。普段から人の言うことを素直に受け取る義母は「では、遠慮なく」と、私の隣で朝食を食べ始めます。私は「こんなときでも落ち着いていてすごい……!」と思わず感心してしまいました。
昼食も助産師さんは、「もう生まれそうだから、お義母さん別室で召し上がってください」と義母に声をかけます。義母は朝食と同様に「いただきます」と言いながらも、分娩室から出ていくぎりぎりまで「痛みはもう少しで終わるからね! 頑張るのよ!」と私のことを励ましてくれ、腰をさすってくれたり、水分を摂らせてくれたりサポートしてくれたのです。そして、義母が昼食を食べている間に私は娘を出産。出産後、義母には「おつかれさま! 食事おいしかったわよ!」と言われ、いつもと変わらないマイペースな義母の姿に、思わず気がゆるみ笑ってしまったのでした。
退院後、私と娘は1カ月間義母の家で過ごすことに。「産後は寝るのが仕事よ!」と義母が身の回りの家事をすべてお世話してくれたおかげで、産後のトラブルは一切ありませんでした。実の娘のようにサポートしてくれた義母には、とても感謝しています。誰かのために一生懸命になれる義母の姿を見て、私もそうなりたいと思う出産体験でした。
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作画/ひのっしー
監修/助産師 松田玲子
著者:木村さち
小学生の娘と穏やかな夫の3人家族。子どもの体力についていけず、子どもより先に寝てしまう毎日……。母の失敗をさりげなくフォローしてくれるやさしい娘のおかげで、なんとか母業をこなせている。