母を殴ったことを悔い一度は家を離れたピンちゃんでしたが、ほんの数日で母に連れ戻されます。
男は酒を飲んで自分の身を心配されること、母はそんな彼に寄り添うこと、互いに相手に自分の存在意義を見出している2人は共依存という関係に陥っていました。
果物が腐ったような甘くて苦い、鼻にまとわりつくにおいーー
家に戻ってきたピンちゃんはすでにアルコール依存症の状態に。朝から晩まで飲み続け、その量も日毎に増えていました。
ある日、あおいさんと次女は熱と汗とともに異様な体臭を漂わせているピンちゃんの異変に気づきます。救急車を呼ぼうとすると拒否の態度を取るためあおいさんは戸惑い、仕事中の母に電話をかけます。
母が呼んだ救急車で病院へ搬送されたピンちゃんは、過度のアルコール摂取により「急性膵炎」になっていることが判明。痛みと空腹、喉の渇きがあり、さらにアルコールの離脱症状として幻覚との闘いが始まります。彼の幻覚にはいつも小さなこどもの姿があるのでしたーー。
◇ ◇ ◇
家に戻ってもお酒を飲み続けるピンちゃん。
熱と汗、異様な体臭を漂わせ、誰がみても明らかに緊急を要する状態で、あおいさんは救急車を呼ぼうとするも、ピンちゃんに呼ぶなと言われると許可がないと動けませんでした。
自分の判断を信じて動くことができなかったあおいさん。それはピンちゃんと暮らしてきた期間、ずっと彼に従い自分の意見を押し殺す毎日を過ごしてきたからではないでしょうか。