家に戻ったピンちゃんはすでにアルコール依存症で日々お酒の量が増え続けていました。ある日、異様な体臭を放つことに気づいたあおいさんは母に連絡。
病院へ搬送されたピンちゃんは急性膵炎と診断されます。アルコールの離脱症状で彼に見える幻覚にはいつも子どもの姿があるようで……。
彼はずっとひとりぼっちだったーー
彼が話す幼少期の話によると、両親と弟とピンちゃんの4人家族。
家族で出かけた際に母からバス代が足りないと言われ、兄弟2人は靴ずれができるほどの長い距離を人に尋ねながら歩いて帰ったことがあると話し、そんな理不尽もごくありふれた日常の光景だったようです。
無関心な父と寡黙な弟、心の病にかかりわが子と一緒に死のうとする母。家族の中でピンちゃんはずっとひとりでした。誰も気づかず、助けてくれない。満たされない心の孤独を抱え、身体だけが大人になったのがピンちゃんでした。
◇ ◇ ◇
ピンちゃんを嫌っているあおいさんが一緒にいることを拒否し切れなかったのは、加害者であると同時に被害者である彼の人生の背景や闇を感じ取り、他人事には思えなかったからと振り返ります。
子ども時代に彼が憧れた「自分の家族」を持ちたいという気持ち。もしピンちゃんが、心から安心できる家庭環境で育っていたら、違った未来になったのでしょうか?