こんにちは、助産院ばぶばぶ・院長のHISAKOです。最近では有名人の乳がんなども報道され、検診の重要性を聞く機会も多いと思います。今日は、授乳中の乳がん検診についてお話しします。
授乳中は正しく診断ができない
授乳中は乳腺組織が増加するので正確な診断ができず、乳がん検診は推奨されません。卒乳し、乳腺組織が通常状態に戻れば問題なく受けられます。
乳腺炎などを除いて、おっぱいのしこりは乳腺の石灰化がほとんどです。乳管のなかにカルシウムが沈着することによって起きる変化です。乳腺は生殖器官のひとつなので、毎月女性ホルモンの影響を受けています。 生理前には乳腺が発達して30%ほど容積を増し、この時期になると 張りや痛みを自覚することがあります。
乳腺は毎月変化をしている
乳腺は性周期にともない変化を繰り返し、さらに妊娠や授乳によってその変化は大きくなります。
必ずしも毎回乳腺全体に均一におこり、完全にもとに戻るわけではなく、部分的に強く変化が起きたり、もとに戻りきらない個所があるなど、部位によって 異なった反応がおきることがあります。
これが毎月積み重なっていくうちに、乳腺の中にさまざまな良性変化を残してしまうことがあります。それらを総称して「乳腺症」といいます。 最近では、乳腺症は生理的なものと考えるようになってきました。
乳腺の石灰化ってどんな状態?
乳腺症のなかの所見のひとつが「石灰化」。
母乳が袋のようなものの中に溜まってできた乳瘤や、乳腺炎を繰り返すことで起こる乳腺の変化など さまざまな理由で石灰化が誘発されます。石灰化はがんになるのでは?と不安になりますが、カルシウムが沈着しているだけなので悪性化をすることはありません。
ただし、石灰化のなかには初期の乳がんが含まれていることがあるので、乳腺症があると 「こまめに乳がん検診を受けましょう」と指導されます。
授乳すると乳がんリスクが減る!?
乳がんは出産回数が多いほどリスクが低くなります。統計では1人産むごとに7%低下するという結果があります。
無理に早めに断乳して乳がん検診を受けるよりも、 授乳期間を長くする方が乳がん発生のリスクは低下します。子育てで忙しい毎日だけど、ママの健康は必須です!だからこそぜひ、 自分の体もいたわってあげてくださいね。
著者:助産院ばぶばぶ院長 助産師HISAKO
総合病院小児科・産婦人科・NICU病棟勤務を経て、地域での助産師活動・出張専門『助産院ばぶばぶ』を開業。2006年には来院ケアも可能な「助産院ばぶばぶ」をオープン。2014年10人目出産し、ママたちに元気と勇気をおすそ分けすべく母乳育児支援や講演活動、書籍出版など多岐にわたって活動中。