学校側には、必要なときにはSさんたちと距離を置かせてもらうようにお願いしたものの、校長先生はこの期に及んで、
「ケイ君だけ……というわけにもいかないので」
「Sさんのお兄さんも、きっと妹を思うやさしさから、行動を起こしてしまったと思うんです」
と、Sさんの兄をフォローするような発言ばかり。
きれいごとを並べて、今回のトラブルを穏便に収めようとするのでした。
さらに、校長先生が呼んだという教育課の支援教育部のマネージャーからは「大人同士なんだから話し合いをして仲直りを」と言われ、校長先生と同様、穏便に済ませたい魂胆が見え見えなことに、ふくこさんはがっかりしてしまいます。
そんな中、偶然なのかSさん親子がふくこさんの目の前に現れました。
あまりの衝撃に、ふくこさんの心臓は大きく鳴り響きますが、「親の私が怯んでどうする」と自分を鼓舞して……。
自分を守ることしか考えてない…
今後、ケイくんがまた被害に遭わないようにするためにも、あえて冷静に話し合いを試みようとしたふくこさん。
しかし、Sさんの母は「あの子が勝手にやった」「私は頼んでいない」「私は注意しました」と自分を守ることしか考えていない発言ばかり。保護者でありながら、Sさんの兄を見捨てるような発言を続けるのでした。
話し合いをしようとする相手が、自分の非をまったく認めずに、否定ばかりしてくる人だとしたら、校長先生たちの言うように穏便に解決することは難しいですよね。
経験豊富な先生方が隣にいたものの、「大丈夫ですよ!」「話し合いましょう!」と言うだけで、特にフォローをしてくれることはなかったようです。第三者として話し合いに参加するのであれば、両者がいる中で事実関係を確認したり、双方の言い分を冷静に取りまとめたりするなどしてほしいものですね。