学校側には、必要なときにはSさんたちと距離を置かせてもらうようにお願いしたものの、「ケイ君だけ……というわけにもいかないので」「Sさんのお兄さんも、きっと妹を思うやさしさから、行動を起こしてしまったと思うんです」と、きれいごとを並べて、今回のトラブルを穏便に収めようとするのでした。
さらに、校長先生が呼んだという教育課の支援教育部のマネージャーからは「大人同士なんだから話し合いをして仲直りを」と言われ、校長先生と同様、穏便に済ませたい魂胆が見え見えなことに、ふくこさんはがっかりしてしまいます。
そんな中、偶然なのかSさん親子がふくこさんの目の前に現れました。
急にSさん親子と相対することになり驚くふくこさんでしたが、冷静になって話し合いを試みることに。
しかし、Sさんの母は「あの子が勝手にやった」「私は頼んでいない」「私は注意しました」と、自分を守ることしか考えていない発言を繰り返し……。
…あれ?何の涙?
ふくこさんは、「しかるべき手続きを踏んで、大事なものをなんとしても守らせていただきます」と真正面から伝えました。
その言葉を聞いた途端、Sさん母は「あー謝ればいいんでしょ。はいはい、ウチが悪かったですっ! どーもすみませんでした!」と言葉を残し、子どもを引きつれて立ち去ってしまったのです。
あまりの虚しさから流れる涙をそのままに、呆然と立ち尽くしてしまうふくこさん。
子どもを守るために必死で戦っているふくこさんと、自分を守ることしか考えていないSさん母。結局、話が通じないままに終わってしまいました。
映画やドラマのようにすっきりとした結末にはならず、虚しさが残る終わり方になりましたが、これが「現実」だとふくこさんは振り返ります。
「自分だけで奔走したり学校だけに任せたりせず、学校以外の教育機関・議員・警察などの専門機関や信頼できるママ友に相談するなどして、決してひとりで抱え込まないようにしてほしいです」とメッセージを寄せてくれました。
社会には自分と考え方が異なる人が必ずいます。うまく距離を置いて過ごせる場合もありますが、今回のように、どうしても向き合わなければならないことも。
子ども同士の小さなトラブルから発展し、実際にこのような事態が起こり得るということを、ふくこさんは自身の経験を通して教えてくれました。
安全でなければいけない小学校で怖い思いをしてしまったケイくん。これからは心穏やかに小学校生活を送れることを願っています。