そんな中、偶然なのかSさん親子がふくこさんの目の前に現れたため、冷静に話し合いを試みることに。しかし、Sさんの母は「あの子が勝手にやった」と、自分を守ることしか考えていない発言を繰り返すばかり。
ふくこさんが、「しかるべき手続きを踏んで、大事なものをなんとしても守らせていただきます」と真正面から伝えると、「はいはい、ウチが悪かったですっ! どーもすみませんでした!」と言葉を残し、Sさんの母は子どもを引きつれて立ち去ってしまったのです。
その後、担任の先生は今回のことを謝罪してくださる一方、校長先生や教育課の支援教育部のマネージャーは「参りましたね……」と言うばかり。
厄介な親だと思われたとしても大事なケイくんを守るため、ふくこさんは「ご経験が豊富な先生方には、どうか現場の先生を支えていただきたい」と、正直な気持ちを先生方に伝え、ケイくんのもとへと向かったのでした。
「そうなってしまう分岐点」は意外と身近に
帰宅後、振り返ってみると「これでよかったのか」と思うことばかり。
ふくこさんは、その日学校で起きた出来事と、その場で考えていたこと、自身の対応で後悔したことなどをすべて夫に聞いてもらいました。
そんなふくこさんの気持ちを受け入れ、夫は「急なことだったのによく頑張ったよ」と認めてくれたのでした。
また、ふくこさんにも、子育てがつらく孤独だった時期があったからこそ、「夫が何ひとつ変わっていなかったら、私はどうなっていたんだろう……」という思いも頭をよぎります。
Sさんの母親のようになる「分岐点」は意外と近くに、そして誰にでもあるのかもしれないと思ったのでした。
圧倒的な孤独感の中で育児を続けるのは、とてもつらいこと。
ふくこさん夫婦のように、本音を打ち明けることができ、協力して一緒に歩んでくれる人がいると、とても心強いですね。パートナーと支え合い、互いに歩み寄れる関係を維持するためには、ふくこさんが意識しているように「ありがとう」という気持ちを言葉にすることが大切なのかもしれません。