夢を追う私と変わっていく夫
私は思い切って会社を辞め、創作活動に専念する道を選びました。夫は「好きにすればいい」と送り出してくれましたが、A太は皮肉混じりの言葉を口にするようになりました。
「オヤジももっと遊べよ。自分が稼いだ金なんだし、好きに使えばいいじゃん」
夫がA太に対し、「母さんに対して敬意が足りないぞ」と伝えても、「本当の母親じゃないし。俺にとっては他人だから! そんな人の機嫌をとる必要ある?」と返すA太。
最初は夫も「そんなこと言うもんじゃない」とたしなめていましたが、そうしたやり取りが何度も続くうちに、夫はA太の暴言を笑って流すようになり、次第に私への態度は冷たくなっていきました。
さらに、帰宅は遅くなり、休日も外出が増え、家の中で過ごす時間はどんどん減っていったのです。
夫が不倫?問い詰めた結果…
そんなある日、親友から「旦那さん、浮気してるかも」と慌てた声で連絡が入りました。見せられた動画には、夫が見知らぬ女性と腕を組み、ホテルに入っていく姿がはっきりと映っています。
ショックでしたが、夫の口から真実を聞きたいと思った私は、親友から証拠となる動画データを送ってもらうことに。
その夜、夫に動画を見せて問い詰めると「あー、バレたか」とあっさりと不倫を認め、「やっぱりA太が言うように、俺が稼いだ金を使ってまで、稼がない妻を養っていくのは意味がないと気づいたんだよ。もう離婚しよう」と吐き捨てるのでした。
以前は「お前のやりたいことを応援する」と言ってくれていた夫ですが、いつの間にかA太の発言に感化され、心変わりしてしまったようです。
突然の裏切りに胸がえぐられるようなショックを受け、私は何も答えられず放心状態に。その後はしばらく何も手につきませんでした。
思い返せば、私は夫のやさしさに甘え、経済的にも精神的にも依存しすぎていたのかもしれません。しかし、だからといって裏切りは許せません。
冷静に考えた結果、私は離婚を決意し、手続きを進めて正式に成立させました。
なぜここに!?予期せぬ再会
離婚から3カ月後、新しいアパートに引っ越して静かな暮らしを取り戻しつつあったころ、インターホンが鳴りました。モニターに映った女性が「隣の部屋に越してきた者です。ごあいさつに伺いました」と言い、私は「わざわざありがとうございます!」と答えて、玄関に向かいました。
しかし、ドアを開けた瞬間、息が止まります。なんと、玄関に立っていたのは元夫とA太。そして、その隣には……元夫とホテルへ入っていった不倫相手の女性。
女性は菓子折りを抱えて笑顔を作りましたが、元夫は私の顔を見た瞬間にみるみる青ざめ、A太は驚いた様子で「……やば」とつぶやきます。
私はなんとか平静を装い、「私、彼の元妻です。……元夫と、ずいぶん前から仲良くされてましたよね?」と告げました。そこでようやく、女性も私が元妻であることに気づき、さっきまでの笑顔が消え引きつった表情に。
私は、「こんな偶然もあるんですね。これからはお隣さんとしてよろしくお願いします。どうぞお幸せに!」と続けました。
引きつった表情のまま「……は、はい」と返す女性。私はそのまま、ゆっくりとドアを閉めました。
慰謝料請求して不倫カップルに制裁を!
偶然の再会で、まさか不倫相手とも対面することになるとは……。
夫に裏切られたショックや、新しい生活の準備で余裕がなく、慰謝料の請求などはしていなかった私ですが、本人たちを目の前にしたことで「しっかり償ってもらいたい」という気持ちが湧いてきてしまいました。
その後、すぐに弁護士に相談し、夫と不倫相手の双方に慰謝料を請求する手続きを進めることに。
数日後、隣の部屋の女性が突然訪ねてきました。緊張した面持ちで、「慰謝料だけは勘弁してほしい」と切り出してきます。
私は静かに首を横に振り、「あの日のことはなかったことにはできません。弁護士を通してください」とだけ告げました。女性は一瞬言葉を失い、絶望の表情を浮かべながら帰っていきました。
その後、時々アパートの廊下を通り過ぎるときに、隣室から元夫と女性の激しい口論が聞こえてきました。内容までは聞き取れませんでしたが、感情をぶつけ合う声から、2人の関係が急速に悪化していることは明らか。
私が慰謝料を請求したことによって、関係性が変わってしまったのかもしれません。やがて、彼らは荷物をまとめてアパートを出て行ったのでした。
まさか元夫たちと偶然再会することになるとは思いもしませんでした。裏切られた過去は消せませんが、毅然と行動したことで、自分の中に区切りをつけることができたと思います。これからは、自分のために時間とエネルギーを使い、今度こそ夢を叶えるために行動していきたいです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。