パニ子は夫のマサシと結婚して5年、とうとう念願のマイホームを手に入れました。一番のお気に入りは庭。花を植えたり夫の趣味のバイクを飾ったりと、新生活を楽しんでいます。住んでいる新興住宅地には同年代の住民も多く、友だちもたくさんできました。
唯一問題なのは、隣人のハナエ。この辺りの要注意人物だそうで、パニ子は一定の距離を置いて付き合おうと思っていたのですが……。
DQN隣人ハナエの生態
ある日、パニ子はなかよしのミナヨとヒトミの3人で、自宅でおしゃべりをしながらお茶を飲んでいました。そこで話題にのぼったのは、やはりハナエのこと。2人から注意するようアドバイスをもらったのですが、すでにハナエから目をつけられているとパニ子は感じています。
「今日もどこかで、私たちのことをのぞいていると思います」「ひぃ〜! 」 悲鳴を上げる2人。いつも3人でお茶をする日は必ず、ハナエがパニ子の家に訪ねてくるのです。
ハナエの夫は仕事が忙しくワンオペの毎日のよう。とても厳しい性格だそうで、夫の前では借りてきた猫のようにおとなしくなるのだとか。ご近所の迷惑になるのは、その反動なのかもしれません。
恐怖の襲撃
ミナヨとヒトミが帰った後、案の定、パニ子の家のチャイムが鳴りました。やはりどこからか見ていたようです。ドアを開けると、子どもたちを連れたハナエが立っていました。
「私をお茶会に呼ばなかったんだから、子どもたちにお茶菓子をくれるくらいの配慮があってもよくない?」と主張します。
これはいつも通りの流れ。パニ子が困っていると、子どもたちが勝手に家に上がり込み、それを追うようにハナエが上がり込んだのち、お菓子やパニ子の家の夕飯をたかって帰るのです。
そして、ついに事件が!
事件が起きたのはパニ子一家が旅行中のこと。「勝手に人の家の家族旅行についてくるなんていわないわよね……」 そんな不穏な予感が頭をよぎるも、楽しくすごすうちに、そんなことは忘れていました。
夜になり、温泉にでも入ろうとしていたときのこと、ミナヨから電話がかかってきました。
「パニ子さん、大変大変! あなたの家に消防車が来ているわよ! 」火元をしっかり確認してから家を出てきたはず。何が起こったかわからずに、パニ子一家は慌てて自宅に戻りました。
まさかの事態、予想できた結末
家に戻ってみてわかったのは、ハナエ一家がパニ子の家の庭で焼き芋をして、ボヤを起こしていたという事実。パニ子のお気に入りのお花が煤にまみれていました。
消防と警察に事情を聞かれたハナエは「パニ子が留守の間、庭を好きに使っていいと言った!」と言い張り、しきりにパニ子を見つめてきます。
もちろんそんなことを言った覚えのないパニ子。なぜそんな嘘をついたのか疑問に思っていると、そこにハナエの夫が現れました。それを見たパニ子は、ハナエが言い逃れようとしていた理由がわかりました。夫は鬼のように真っ赤な顔をして怒っています。ハナエはパニ子に口裏を合わせてもらおうと、アイコンタクトを送り続けていたのでした。
ボヤ騒ぎをきっかけに、ハナエの悪事のすべてが夫の耳に届いたよう。厳格な夫がハナエを許すわけもなく、ほどなく離婚が決まったとのことでした。パニ子も、庭の修理費とダメにした旅行代金を、きっちり彼女に支払ってもらったそうですよ。
日々のストレスを近隣の住民への非常識な行動によって解消していたハナエ。しかしストレスは人にあたって発散するものではありません。自分の機嫌は自分で取って、人には迷惑をかけずにすごしたいものですね。