パニ子はイタリアンレストランを経営し、自らもシェフとして働いています。40歳のひとり身ではありますが、お店はお客様にも愛され、順風満帆な日々をすごしていました。
しかしつい先日、パニ子の母が病気で倒れ介護が必要な生活に。実家でひとり暮らしをしていた母を助けるため、パニ子は同居を決めました。これまでの恩返しを今こそ…と思っていたのですがーー。
母との幸せな日々を脅かす弟夫婦
母との同居生活は思いの外楽しく、パニ子と母は互いを思いやる穏やかな時間をすごしていました。しかし、パニ子の弟・シンジとその妻・サトミがやってきたことで生活が一転します。
シンジは父親が亡くなったときでさえ忙しいと言い、実家に来なかったのにもかかわらず、今回は5歳の息子・タクトも一緒です。一体何の用なのでしょう……。
どうやらシンジは、父の遺産を相続した母にパニ子が寄生していると勘違いしている様子。「この家、俺たちが住むから! 寄生虫は出て行け! 」とまくし立てます。しかし母の介護はまた別の話のようで「介護施設にでも入れ」と無責任に言うのでした。
家を出る母娘「じつは…」
パニ子とシンジが揉めている間、タクトはすっかり母に心を許したようで、ことの成り行きをこっそり母に話していました。なんとシンジ夫婦はギャンブルで大金をすってしまい家を追い出されてしまったそうです。
その理由を聞き、パニ子の母は「彼らの好きなようにさせて、私たちも好きにしましょう」とニコリ。パニ子もニヤリと笑って応え、すぐさまシンジに家を明け渡しました。ただし、母はパニ子が引き取るという約束です。
実は以前から引っ越しを考えていたパニ子と母。家の老朽化やパニ子の職場から遠いという問題があったため、今よりももっと条件の良い新居を見つけ、あとは引っ越しを待つばかりというところでした。実家は売却の話が進行中で、そこにシンジたちがやってきたのです。
職場で大騒ぎ!
平穏な日々を取り戻していたパニ子のもとに、再び嵐がやってきたのは、引っ越しの数カ月後のことでした。
仕事を終えたパニ子がスマホを見ると、シンジからありえない数の着信履歴がありました。大方、実家からも追い出されることになり路頭に迷っているのでしょう。パニ子は連絡を無視していました。
すると今後はパニ子の働くレストランにまで押しかける始末。パニ子はうんざりしましたが、幼いタクトのことが気がかりです。こうなった原因はシンジ夫婦にあると諭し、せめてタクトが安心して生活できるよう努力しろと伝えます。
真っ当なことを言われ、何も言い返せないシンジでしたが、それで引き下がるわけがありません。言い負かされた苛立ちをぶつけるかのように、レストランで暴れ始めたのでした。
結果、飾ってあった高い絵画が落下し破損。お客様は帰ってしまいました。これは立派な器物損壊と営業妨害です。シンジはスタッフに呼ばれた警察官に即逮捕されました。
家族のあるべき姿とは…
シンジ夫婦のその後ですが、逮捕の一件を会社に知られたようで、即時解雇。今は遠くの街で住み込みの仕事を見つけ、朝から晩まで働いているそうです。ギャンブルの借金も相当額あった上、パニ子への損害賠償も重なり、働いても働いても彼らの負債は減らないという話でした。
また、タクトへのネグレクトも発覚! パニ子はタクトを引き取り、母と3人で楽しく暮らすことを決めました。いきいきとしていて今が1番幸せだと言う甥っ子に、たくさんの愛情を注いであげようとパニ子は思ったのでした。
大人になってまで親に依存した結果、すべてを失ってしまった弟。彼に待ち構える人生は、わびしいものになるでしょう。家族は助け合って生きていきたいものですが、助け合いと依存は、まったく別物ですね。