順調な高校生活
高校入学後、友人と一緒に放送部に入部した私は、部活の先輩に密かな恋心を抱いていました。入学から3カ月が経ち学校生活にも慣れてきたころ、友人からの後押しもあり「当たって砕けろ」の精神で、その先輩に告白。
すると先輩から「わかった、付き合おう」とOKをもらい、晴れて恋人同士になったのです。背中を押してくれた友人もとても喜んでくれて、まさに青春を謳歌していました。しかし、その幸せはわずか1週間で砕け散ったのです。
まさかの本命発覚
ある日、先輩とカラオケデートをした帰り道のこと。彼から突然「ごめん。俺、好きなやついるわ」と言われてしまいました。あまりに突然のことで、私は思考が追いつきません。
私はただ「ごめん、本当にごめん」と謝り続ける先輩のことを黙って見つめることしかできませんでした。交際から1週間の出来事で、私はとても短い恋人期間を終えることになったのです。
ぼう然としながら家に帰り、食事とお風呂を済ませたころ、先輩から改めて「今日はごめん。別れてください」というメッセージが。その文面を見た瞬間、私は友人へ電話をかけました。
いつも寝るのが早い友人がこの日はたまたま起きていて、彼女の「こんな時間にどうしたの？」という穏やかな声を聞いた途端に涙がボロボロとこぼれ落ち、一連の出来事を伝えました。
思いがけない友人の行動
そして翌日。ちょうど部活がある日で、いやでも先輩と顔を合わせなくてはなりません。気まずい気持ちを抱えて、その日は目立たないように過ごしていると、ある女性の先輩から「（友人と）一緒に3階の階段前に来てほしい」と言われたのです。
どうしたんだろう？ と不思議に思いながら向かうと、なんとそこには女性の先輩の隣に昨日まで恋人だった彼の姿が！ そして、2人から「今回のこと、本当にごめんね」「すみませんでした！！」と謝られました。
聞けば、彼は少し前から女性の先輩と付き合っていたそうで、要するに一瞬だけ私と二股をかけていたということです。どうやら、電話の内容を聞いた友人が彼に対し「彼女（私）はすごく傷ついている。もう一度、面と向かって誠心誠意謝ってください」と抗議をしてくれたのだとか……。そこで女性の先輩も彼のしたことを知り、一緒に謝ってくれたといいます。
あっけなく散った恋はつらかったですが、この一件で友人との絆は一層深まりました。心から大切にしあえる友人に恵まれ、私は幸せ者だと思います。
初恋事件以降、しばらく恋愛はこりごりという状態でしたが、先輩カップルとはその後いい関係を築くことができて、友人と共に充実した高校生活を送ることができました。その後、友人の紹介で知り合った男性と交際することになり、先輩カップルとWデートするまでに……。今は、みんなで友人の恋を応援しています！
著者／桜とわ
イラスト／sawawa
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