かつて友人から聞いた「夫は年下の若い子に弱い」という言葉。その呪いのような不安を消すため若作りに励むカナデでしたが、夫はスマホに夢中で、画面を見てはニヤつき、鼻歌まで歌う始末。
夫婦の会話すら避ける夫に不信感が募り、ついに「私が何かした?」と追及します。あからさまに不機嫌な態度を見せた夫でしたが、突然「実は……大きなプロジェクトを任されて忙しいんだ」と饒舌に弁解。
その言葉を信じて安堵するカナデ。うまく騙せたと思ったのか、夫の口元には不気味な笑みが浮かんでいたのでした……。
スマホが恋人の夫と尽くす私

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「最初から教えてくれていれば、こんなに不安にならなかったのに……」
カナデはそう思いながらも、ひとまず安堵のため息をつきました。
「スマホで、プロジェクトの進捗を確認してるんだ。いいことが少しでもあると、うれしくてついにやけちゃって」
夫の弁解を聞いて、カナデは自分の心配が取り越し苦労だったのではないかと思い始めました。
「心配しすぎて、ごめんなさい」
「これからも遅くなる日が増えると思う」
「無理しないでね」
カナデがそう伝えると、夫はやさしくカナデを抱きしめました。
「大丈夫だよ」
夫と話したことで、心を覆っていたモヤモヤが解消されたカナデ。夫が抱きしめながらニヤっとしていることに気がつきませんでした。ベッドに横になると、隣で夫が再びスマホを確認している姿が目に入りましたが、もう気になりません。
夫が仕事で頑張れるように、明日はお肉を奮発しようかな——
カナデは夫を支えようと、明日の献立を考えながら、静かに眠りに就きました。
◇ ◇ ◇
夫を信じて明日の料理を考えるカナデさんの姿、健気で胸が締め付けられます。疑うのもつらいですが、信じ切るのにも勇気がいりますよね。彼女は愛ゆえに、信じる道を選びましたが、愛すれば愛するほど、相手の「背後の表情」は見えにくくなってしまうものなのでしょう。
これは夫婦関係において、ふと陥ってしまう盲点なのかもしれません。 目の前のやさしさを信じつつも、時には「本当にすべて見えているかな?」と立ち止まってみる。そんな冷静さを持つことも、自分自身を守るためには必要なのかもしれませんね。「信じること」と「見極めること」の難しさを、深く考えさせられますね。
加藤 かと