ある日のこと、まゆさんがゴンちゃんの歯を磨こうと口の中を見ると、生えていたはずの下の前歯が1本、なくなっていました。さすがにおかしいと感じたまゆさんはネットで症状を検索。すると「低ホスファターゼ症」という病名が出てきました。焦ってしまったまゆさんはすぐに歯医者を予約。2週間後にようやく診てもらえることになったのですが……。
医師の口から告げられたのは…
※通常はレントゲン検査をおこないます。しかし、赤ちゃんの場合、口の中のフィルムを嫌がる、動いてしまう(レントゲン撮影時は静止する必要があります)などの理由から難しく、症状によってはおこなわれない場合があります。
ゴンちゃんの乳歯が抜けた2週間後、ようやく歯医者で診察をしてもらえることに。
デジカメで歯を撮影するなどして診てもらったのですが、「どこかにぶつけたのかしら」と歯医者さん。そして、炎症はしていないから様子を見ましょうと告げられました。
自分が検索をして調べていた「低ホスファターゼ症」という病気ではないかと心の中でモヤモヤとしていたまゆさん。
調べれば調べるほど、深刻な症状ばかりが目に入ってしまい、まゆさんの不安は大きくなっていきました。
そして3カ月後、2回目の歯科受診をしました。
すると先生は……。
「もう1つの下の歯もぐらついていますね。低ホスファターゼ症かもしれません」と初めて病名を口にしました。
そして歯医者さんから小児科の医師に相談してくださることに。相談後、まゆさんに連絡をくれるとのこと。
まゆさんは、これで診断ができるかもしれないと少し安堵する気持ちになったのでした。
◇ ◇ ◇
これまでずっとゴンちゃんの歯に隙間があったり乳歯が抜けたりする原因がわからず、モヤモヤが募っていたまゆさん。無事に診断へ結びつきそうでほっとした部分もあるのではないでしょうか。とはいってもこれからどうなっていくのか不安は尽きませんよね。ひとりで抱え込まず、悩みや心配事を家族に共有して一緒に乗り越えていってほしいですね。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
※低ホスファターゼ症とは
生まれつき骨の石灰化が不十分であることが特徴の遺伝性の病気で、15万人に1人程度発症すると推定されています。骨の石灰化に必要な酵素であるアルカリホスファターゼの欠損や活性低下が原因です。症状は、けいれん、筋力低下、体重増加不良、4歳未満での早期の乳歯脱落などがありますが、重症度や発症年齢には幅があります。重症の場合、胎児期に超音波検査でわかることもありますし、軽症の場合はほとんど症状はないまま成人後に疲労骨折などをきっかけとして見つかることもあります。2015年に酵素薬が開発され、現在はこの薬を用いたアルカリホスファターゼ酵素補充療法が基本治療となっています。この治療方法により症状を改善することができるようになってきました。何らかの症状のある場合は早めに医療機関を受診し、相談するようにしましょう。
<参考>
公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター「低ホスファターゼ症」(指定難病172)
一般社団法人 日本小児内分泌学会「低ホスファターゼ症」