そしてまっちくんは、小さなころから「特定の物を持って、それをずっと眺めながら同じ直線を何度も行ったり来たり走る行動」(常同行動※)が見られました。一見すると不思議な動きですが、その行動はまっちくんにとって、気持ちを癒やす大切な時間だったようです。
(※)常同行動:一見すると目的もなく、一定の行動(動作)を繰り返しおこなうこと
前向きな気持ちで見守っていたねこじまさんですが、年長の終わりごろに登園しぶりが始まり、保育園では常同行動の頻度が増して、孤立したがっているとのことで、漠然とした不安を感じます。
そこで新生児のころから通っている大学病院で心理発達科を紹介してもらい、発達検査の予約。しかし、予約待ちのため、検査を受ける前に小学校へ入学したのでした。
入学直前、ねこじまさんが常同行動についてまっちくんに話をしてみると……。
息子から返ってきた予想外の答え
「変な人って思われたら嫌だから、やらないよ」
と、まっちくんなりに自分の行動を客観的に捉えていました。
ねこじまさんは「子どもって親が思う以上にいろいろなことを考えているんですよね。心配で言ったことが本当にいらない先回りだったなぁと思い、反省することよくあります」と振り返ります。
まっちくんにとって、気持ちを落ち着かせるための習慣でもある常同行動を抑えるのは、きっと大変だろうということは想像に難くありません。
周囲が自分を見てどう思うかを気にしてしまう、まっちくんだからこそ、相手にどんな言葉をかければいいのか想像できるため、お友だちにやさしく接することができているそうです。
繊細でやさしい心を持っているため、いろいろな状況に傷ついたり悩んだりしてしまうのかもしれませんね。
自分の子どもとはいえ、自分自身とは違うひとりの人間。わかってあげられないことも多いもの……。子どもが外の世界で悩みを抱えている場合は特に、冷静に子どもの話を聞いて受け止めてあげたいものですね。