「お金がない」と嘆くりなに、「真面目に子育てして、仕事を見つけなさい」とりなを突き放す母。「真面目に働くなんて無理!」とわめいていたりなですが、「もし邪魔だと思うなら……この場でキキを手放しなさい」という母からの言葉で目が覚めます。
「……嫌! 手放さない! 私の子だもん! 私が育てる!」と泣きながら訴えたりな。それからは夜遊びすることもなくなり、キキちゃんのお世話に励んでいました。
そんなりなの様子に、「改心した」と安堵していたさえ。しかしある夜、「ごめんなさい。キキをお願いします」と書かれた置き手紙とともに、りなが姿を消したのです。「キキのこと……捨ててった……」と青ざめるさえに、母は……。
母だけが気づいていた異変
「キキが寝てる間に出て行ったのね。ほら……よく寝てる」
動揺するさえに反して、落ち着いた様子の母。
「りなに連絡は!? あいつどこ行ったのよ!」
「どこだっていいよ。今思えばあの子……様子が変だった」
母いわく、「おとなしく見えていたけど、ずっと考えごとをして、何かに迷っているみたいだった」との言うのです。
「だから……もう仕方ないね。この子は私が引き取る。りなのことは忘れるよ」
置き手紙とともに姿をくらましたりな。母はキキちゃんを引き取る決心をしました。
――りながいなくなり、8カ月後。
「ききめろちゃん! お誕生日おめでと〜!」
キキちゃんの1歳の誕生日を祝う、さえと母。りなからの連絡はなく、どこで何をしているのかわからない状況でしたが、さえも母も、りなを探すつもりはありませんでした。
母はキキちゃんの親権を取り、正真正銘キキちゃんの親に。そして、さえとともに3人で暮らしていました。
「迷惑なやつだけど、キキを産んでくれたことは、感謝している」
りなに対して怒りがないと言えば嘘になりますが、さえは、キキちゃんの成長を見守る生活に、幸せを感じているのでした。
りながいない中、キキちゃんと生活することになったさえと母。母親が逃げ出すという、耳を疑うような出来事が起きましたが、キキちゃんはふたりからたくさんの愛情を注がれているようです。
りながどこで何をしているのか、誰にもわかりませんが、わが子の成長を見られないりなは、本当に幸せなのでしょうか……。ともあれ、この先もキキちゃんの笑顔が絶え間なく続くことを願うばかりです。